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【食堂のおばちゃんの人生相談】52歳・会社員のお悩み
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.01 11:00 最終更新日:2020.05.01 11:00
「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/曹操さん(52)会社員】
長年可愛がってきた部下(38)が突如、辞職を願い出てきた。強く慰留したが、「肉親の介護のために、故郷へ帰らなくてはならない」という。彼は、私のために何度も危ない橋を渡ってくれた。その恩義に報い、最大の感謝を表わすために、彼の送別会で、私は何をすべきだろう。
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【山口先生のお答え】
そうですか。春は旅立ち……別れの季節でもありますね。
部下の方は新しい旅立ちをなさるわけですが、正直言って38歳で介護離職というのは、決して嬉しい選択ではないでしょう。まして上司のために「何度も危ない橋を渡る」くらい仕事に意欲的だったわけですから、無念の思いを抱いておられると思います。
でも、部下の功労を認めて恩義を感じる、曹操さんのような上司に恵まれたことは、お幸せだったと思います。このコラムには横暴で無理解な上司に悩む方からのご相談が多いので、こんな出来た上司もいると知ったら、皆さんきっとうらやましがるでしょう。
私は送別会では是非、感謝状を読み上げていただきたいと思います。彼がどれほど優秀で誠実で勇敢な会社員であったか、自分がそのためにどれほど助かったか、上司と部下という縁に恵まれたことを感謝していると、素直に仰って下さい。
離職は残念だが、せっかく恵まれた縁がそれで切れるわけではない。これからも自分で役に立つことがあれば全力で協力する、そう約束して下さい。公の場で気持ちを述べるということは、宣言することです。後で取り消しは出来ません。
彼はまだ38歳です。いずれ再就職の口を探すときが来ます。その時に備えて情報収集し、お知らせしてあげれば、喜ばれるのではないでしょうか。彼の再起の時が来たら、どうぞ諸葛孔明となってご尽力下さい。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中