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いっこく堂の症例に学ぶ「尿路結石の治療」約1時間で済む方法も
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.05.24 16:00 最終更新日:2020.05.24 16:00
男性では7人に1人が罹るという「尿路結石」。発症時の処置と、その後の治療はどうなるのか。2014年1月に発症した、腹話術師のいっこく堂(56)は、こう話す。
「搬送された日はCTを撮影されて、結石が確認されたので、痛み止めを処方されました。それで痛みが引き、帰宅できました」
【写真多数:間接的に衝撃波で結石を砕く「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」】
約3万件の結石診療実績がある、東京腎泌尿器センター大和病院の泌尿器科医長・大岩祐一郎医師が解説する。
「病院に到着すると、まずCTなどで、腎臓が腫れているかどうかを検査します。痛みの原因は、腎臓にできた結石が、尿管に落ちて尿が排出されず、腎臓が腫れて広がることにあります。腎臓が腫れると、周囲の神経が刺激されてしまうのです」
尿路結石の確定診断が出たら、痛み止めの座薬を処方される。
「座薬は30分くらいで効果が出るので、痛みが収まれば帰宅していただき、後日に患者さんと治療法を話し合います。なお、石の大きさと痛みのひどさに、関連性はありません」(大岩医師、以下同)
治療法には、「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」「経尿道的尿路結石除去術(TUL)」「経皮的結石除去術(PNL)」などがある。
ESWLでは、まず治療機器が備えられたベッドに仰向けに寝て、レントゲンを照射。石の位置を確認し、下から1秒に1回の衝撃波を患部に当て、結石を小さく破砕する。そして、破砕された結石を尿管から膀胱に排出させ、除去する治療法だ。早ければ治療当日から、尿の中に混じって出てくるという。
「ESWLの処置時間は、約1時間です。1回の治療ですべてを破砕しきれない場合は、数週間後に2回めの治療をおこないます。治療中は、鈍く響くような痛みを感じることがあるので、鎮痛剤を投与することがあります。麻酔などをかけることはありません」
副作用や後遺症の心配がほとんどなく、高齢者や心臓病、糖尿病などの合併症がある患者でも治療可能だ。いっこく堂が受けたのも、この施術。発症から27日後に、3000発の衝撃波を受けると、砕けた石が3粒出てきたという。
一方TULは、全身麻酔または硬膜外麻酔をおこない、尿管鏡(内視鏡)を尿道から挿入。結石を直接観察しながら、レーザーを用いて破砕し、体外に結石を摘出する治療法だ。平均で4~5日の入院が必要になる。
「機能が向上した軟らかい内視鏡を用いれば、尿管結石だけでなく、腎臓結石など、全上部尿路結石に対しても治療が可能です。治療件数は、年々増加しています」
一般的に、2cm以上の大きな結石は、ESWLやTULでは十分に治療しきれない場合がある。そのときはPNLでの治療が選択肢となる。
「まず全身麻酔で背中に穴を開け、腎臓までのルートを作成します。そこから内視鏡を挿入し、レーザーなどの砕石装置を用いて、結石を砕いてから体外に摘出します。より細いルートを用いた『miniture PNL』という治療法もあります」
もっとも、尿路結石の90%以上は、尿と一緒に自然に排出される。
「アズキくらいの大きさの結石の場合、場合によっては痛み止めを処方しながら、自然排出を待つことも多いです。水分を多く摂り、ランニングや縄跳びをして、排出を促します」
(週刊FLASH 2020年5月12・19日号)