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『江戸前の旬』原作者が語る「常識を覆す旬のサバの味わい方」

ライフ・マネー 投稿日:2020.05.25 16:00FLASH編集部

『江戸前の旬』原作者が語る「常識を覆す旬のサバの味わい方」

 

 マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。

 

 

 

「秋から冬は、サバが美味しい季節です。おすすめは、シメサバ。本当にいいシメサバは、マグロの中トロぐらいウマいんですよ。北海道なら噴火湾(内浦湾)、東北だと金華湾(宮城)の『金華サバ』や、八戸(青森)の『前沖サバ』なんかの “ブランドサバ” は、とくに脂がのってウマい。

 

 ところで、『サバが腐りやすいから酢締めするようになった』ということは広く知られていますが、ボソボソしていて酢がキツいイメージがありませんか?

 

 いまは改良されて、薄めのお酢に浅く漬けるようになっていて、食感もほとんど生に近い。きちんと『サバを美味しく食べるための調理法』として確立されているんです。

 

 たとえば関サバ。刺し身として生で食べるのはおなじみですが、寿司にすると美味しくない。ところが、酢締めにすると寿司でもウマいんですよ」

 

 酢締めで美味しいサバは、ほかにもある。

 

「京都では、サバの棒寿司のことを “生寿司” と書いて『きずし』と呼びますが、それも浅く酢で締めている。江戸前の握りに風味がすごく似ていて、美味しいです。

 

 同じサバ寿司でも、駅上のデパートなんかで売っているお土産ものは、3~4日もつようにするために酢をキツくしていて、けっこうすっぱい。

 

 ただ、日本橋のデパートの名産展などにも出展されている『花折』というサバ寿司の専門店は、賞味期限が少し短い2日ほどで、サバもシャリも厚く、めちゃめちゃウマい。老舗なんですが、いまはサバが獲れにくくなっている関係もあって、店舗数を縮小されているみたいです。私も行きつけの日本酒バーにあった小さい出店で、偶然出会いました。

 

 サバ自体を楽しむなら、江戸前には申し訳なさを感じながらも、関西風の棒寿司のほうが美味しい。『旬』というと、新鮮なものを生で食べて楽しむイメージが強いかと思いますが、旬でも加工したほうがウマいものもあるんです」


つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう

 

(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社

 

※ドラマ『江戸前の旬season2』(BSテレ東)のDVDBOXが発売中

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