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どうしたら「自虐」で笑いを取れるのか、マニュアル化してみた

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.06.07 11:00 最終更新日:2020.06.07 11:00

どうしたら「自虐」で笑いを取れるのか、マニュアル化してみた

 

 自らの言動で、人に「お前ってかわいそうだな」「お前バカだな」「アイツじゃなくて良かった」「自分の方がマシかも」などと思わせることができたら、あなたは、相手に優越感をもたせたと言えるでしょう。

 

 相手に優越感を与えた瞬間、相手は気持ち良くなります。その内容によって、少しだけ気持ち良くなることもあれば、一気に気持ち良くなることもあります。そして、相手に優越感をもたせることができれば、基本的に笑いは取れます。この笑いのことを、「自虐の笑い」と呼びます。

 

 

 相手の気持ち良さと笑いとの関係は次のようになります。

 

○相手が少し気持ち良くなる → 微笑
○相手が一気に大きく気持ち良くなる → 爆笑

 

 人間は、他人と比較して自分が優位に立つと、自然と笑いやすくなります。何故か? それは、優位に立つと……幸せだからです。だから、人間は優位に立つと自然と笑いやすくなるのです。これを利用しましょう。

 

 笑いを起こすために相手を優位にさせ気持ち良くさせる。
 そのためには、自分のマイナス要素を晒し、自分を下に見せることが必要です。どうしたら自分を下に見せられるのか? それは「不幸の告白」です。

 

 自分の不幸(容姿、欠点、悲しい出来事、恥ずかしい出来事、など)を自ら相手に告白するのです。良くない出来事が起きた人に対して、「(笑いが取れて)オイシイじゃん」などと言う場面がよくありますが、これは「『自虐の笑い』を取れるチャンスだからラッキーだね」という意味で使われています。

 

 相手を気持ち良くさせ、優越感を高めるには、「自虐の不幸度」を上げることです。不幸の度合いが高ければ高いほど、笑いは大きくなりやすいのです。相手に優越感を与えるような自虐的な内容を言ったとします。それに対して相手が「まぁ、お前にとっては悲しいことかもね」と思った場合と、「お前は、なんてかわいそうなんだ、そんな奴他にいないよ!」と思った場合では、後者の方が優越感の度合いは大きく、相手が気持ち良くなりますよね?

 

 では、どうすれば「自虐の不幸度」を上げられるでしょうか? それには、次のような方法があります。

 

1 前置きを作る(いつ、どこで、誰に、どんな状況で、など)
2 違う種類の笑いを足す
3 出来事を大きくしていく

 

 順番に説明していきましょう。

 

1 前置きを作る

 

 まず、自虐を言う時に前置きを作る方法です。例えば、「犬の糞を踏んだ」という自虐があったとします。これに前置きを入れて、「新品の靴を履いてたら犬の糞を踏んだ」と言う方が、不幸度が高く感じませんか? その方が笑いが大きくなるはずです。
 

 また、「こないだの合コン、俺だけモテなかった」という自虐があったとします。これが、「こないだの合コン、俺が全額おごったのに、俺だけモテなかった」だったらどうでしょう? 後者の方が不幸度が上がり、笑いが起こりやすいでしょう。

 

【例】「バイト先をクビになりました」→「誕生日にバイト先をクビになりました」
【例】「カツアゲされました」→「年下の女の子にカツアゲされました」

 

 このように、前置きを作ることによって、不幸度が増して、笑いやすくなるのです。

 

2 違う種類の笑いを足す

 

 次に、違う種類の笑いを混ぜる方法を紹介します。

 

【例】中年1がソワソワしている気持ちを自虐(中年2人が駅で待ち合わせして、遊びに出かける状況)

 

中年1(ソワソワしながら歩いている)
中年2「お前、なんかソワソワしてないか」
中年1「バレたか」
中年2「どうした?」
中年1「俺、財布に5000円以上入っていると落ち着かないんだ」
中年2「わかる(笑)」

 

 例えば中学生の時、大金をもつと感じたドキドキ(共感)に、いい大人が所持金5000円程度で不安になるという気持ち(自虐)を重ねています。

 

3 出来事を大きくしていく

 

【例】つまずく → 転ぶ → 転倒する → 怪我する → 事故る

 

 このように、不幸の内容を激しくしていく方法です。実際には「つまずいた」だけなのに、「転倒した」と大げさな言動を取ったほうが、不幸度が上がり、相手に優越感を与えることができるでしょう。しかし、あるラインを超えると、優越感を通り越して「かわいそうすぎる」「もうその話聞きたくないな……」といった哀れみの感情や悲しみの感情が生まれてしまいます。そうなると、相手は引いてしまい、笑いは起きません。

 

 ですので、「自虐の笑い」をできるだけ大きく取るには、この許容範囲を超えずに、なるべく不幸度を上げる必要があります。

 

「自虐の笑い」のメリットは、リスクが低いことです。もし笑いにならなくても、自分を下にしているので、相手を傷つけることは基本的にないからです。ただ、あなたのプライドが高い場合、自分を下に見せる言動は取りにくいかもしれません。ここは笑いのためと割り切って、プライドを捨て、自分の不幸を告白してみましょう。

 

 もし「スベった空気」が出てしまっても、その「スベった不幸」を自虐に変えられれば、きっと笑いが生まれるはずです。

 

 

 以上、西条みつとし氏の新刊『笑わせる技術 世界は9つの笑いでできている』(光文社新書)をもとに再構成しました。「共感」「自虐」「裏切り」「安心」「期待」「無茶」「発想」「リアクション」「キャラクター」の9つに笑いを分類し、豊富な具体例を交えながら「笑わせる技術」を解説します。

 

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