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いまこそ知りたい「肝臓の真実」健康診断の注目数値は「A/G比」

ライフ・マネー 投稿日:2020.06.30 16:00FLASH編集部

 

いまこそ知りたい「肝臓の真実」健康診断の注目数値は「A/G比」

エコー検査では、腹部にジェルを塗り、その上から装置を当てる

 

●Q5.肝機能の数値が悪い場合は、どんな検査がある?

 

 肝機能の数値に異常が見つかった場合は、専門医による、より精密な検査が必要になる。脂肪の蓄積(脂肪肝)、慢性肝炎と肝硬変の区別、さらには肝ガンの有無まで判定できるのが、超音波(エコー)検査だ。

 

「腹部の表面に超音波の発信機を当てて、内臓に反射して返ってくる超音波をとらえ、内臓の状態を画像として映し出す検査法です。

 

 手軽にでき、患者さんの負担が少ないので、画像検査としては最初におこなわれます。静脈注射で造影剤を注入する方法によれば、2cm以下のガンでも発見することが可能になっています」(岡田氏)

 

 コンピュータ断層撮影(CT)検査では、X線を照射する装置を回転させながら、画像を撮影。その画像をコンピュータ処理して、体の横断面を撮影する。

 

「最新の装置では、1秒間に100枚以上撮影でき、小さな早期ガンの発見にも威力を発揮します。造影剤を静脈に注射し、同じ場所をタイミングを変え撮影する『ダイナミックCT』という検査法もあります」(同前)

 

 そして磁気共鳴画像(MRI)検査は、強い磁力を使って体の中の水素原子を共鳴させ、画像化する。X線を使用しないため被ばくのリスクがなく、撮影した組織のコントラストが優れている、などの利点がある。CT検査での診断が難しい場合におこなわれる。

 

 画像検査のほかに直接、肝臓の病理組織を採取して顕微鏡で調べるのが、肝生検だ。慢性肝炎、肝硬変、肝ガンなどの診断に使われる。

 

「局所麻酔をおこない、超音波検査で位置を確認しながら、腹壁から針を刺して肝臓の組織を採取します。通常は1日、入院しておこなわれます。

 

 画像による診断が発達した今日でも、直接、病理組織を確認できる肝生検は、きわめて重要な検査法です」(同前)

 

●Q6.肝機能数値の異常はどんな病気につながる?

 

 Q1でもふれたように、自覚症状がないままガンへと悪化、進行していくのが肝臓疾患の怖さだ。肝臓ガンへの入口となるのが、肝炎だ。だるい、食欲がない、吐き気がする、皮膚や目が黄色くなる(黄疸)……急性肝炎では、このような症状が出る。

 

 肝炎にはさまざまな原因があるが、ほとんどがウイルスの感染によるものだ。

 

「ウイルス性肝炎にはA型からE型までありますが、日本人に多いのはB型とC型です」(岡田氏、以下同)

 

 B型・C型肝炎のウイルスは、すでに感染している人の血液中に存在する。そのため、輸血や注射針の使いまわし、性行為などが原因で感染する。かつては、出産時の母子感染も問題とされていた。

 

「肝炎ウイルスに感染しても、目立った症状が出ないことがあります。あったとしても、疲れやすい、微熱が出るなどに留まることもあります」

 

 慢性肝炎が進行すると、肝臓の細胞が繊維状に硬くなっていく。これが肝硬変と呼ばれる状態だ。

 

「肝硬変になると、肝臓は再生できなくなります。そのうちの3人に1人くらいは、肝臓ガンにまで進行してしまいます」

 

 日本では、年間約2万6000人が肝臓ガンで亡くなっている(2018年、国立がん研究センターのウェブサイトより)。

 

 また、栗原氏は「脂肪肝」に注目する。脂肪肝とは、肝臓の細胞の内側に中性脂肪が沈着した状態で、さまざまな肝障害の原因になる。

 

「1980年代以降、『脂肪肝の患者のなかに、慢性肝炎から肝硬変や肝臓ガンへ進行するものがある』と知られるようになってきました。脂肪肝を放置していたら、知らないうちに肝硬変や肝臓ガンとなって発見される可能性があるのです」(栗原氏)

 

 数値に不安を感じたら、早めの検査が “肝” だ。

 

(週刊FLASH 2020年6月9日号)

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