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放置すれば高額請求も「相続した実家」空き家はリフォームせよ!
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.08.31 06:00 最終更新日:2020.08.31 06:00
「『両親が亡くなり、空き家になってしまった “実家” を、どうにかしてほしい』という40代~60代の方からの依頼が、どんどん増えています」
そう話すのは、空き家再生が専門の不動産会社、オハナホーム株式会社の菊池まさおさんだ。千葉県内を中心に、空き家の再生や相続相談などをおこなっている。
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「好立地の不動産を相続したなら、売ることもできるし、自分が住むこともできます。でも、田舎や郊外の立地で、築年数もたっているような物件は難しい。
買い手がつかなかったり、活用方法がわからなかったり。そもそも、家の中の荷物が多すぎて、そのままにしてしまう方も多いです」(菊池さん・以下同)
相続した実家を放置していると、ある日突然、高額な請求がくることもあるという。
「2015年2月に、『空家対策特別措置法』が一部施行されました。空き家の適正管理をする責任は所有者にあり、行政から、倒壊や火災発生の危険がある『特定空家』に指定されると、所有者に対し適正管理の助言→指導→勧告→命令がなされます。
それでも空き家に改善が見られない場合、建物の状況によっては行政が解体などをおこない、あとから所有者に費用が請求されます。
実際、滋賀県野洲市内にあった築48年の廃墟と化した分譲マンションが、今年7月に行政により解体されました。解体費用の総額は1億1800万円。野洲市は、所有者9人に費用を請求する予定だそうです」
では、相続した空き家はどうするのがベストなのか。
「立地によりますが、リフォームを選択肢に入れてください。解体には、そもそもお金がかかりますし、建築基準法で再建築が不可能な場所もあるので、壊す前にきちんと確認する必要があります。
安易に考えがちなのは、更地にして駐車場にすること。しかし地方の場合、駐車場の需要が少なく、解体費用に対して元が取れない場合も多いんです」
実際に、菊池さんが手がけている空き家のリフォームを見てみよう。1軒めは東京から約1時間半、千葉・東金市に立つ築40年の平屋だ(冒頭の写真)。
「一般的に見れば、ここはけっして利便性の高い場所ではありません。でもじつは、サーファーに人気の海岸まで、車で10分もかからないんです。別荘としてなら需要があると思い、天井を抜いておしゃれで広々とした空間にし、水回りも最新のものにしました」
実際、取材後に月8万円弱の家賃で借り手が決まった。
2軒めは、千葉・八街市にある築20年の一戸建て(上の写真)。床と壁を張り替え、キッチンのシンクと棚の位置は変えずに、新しいものに変更した。リフォーム前は、絵に描いたような “ゴミ屋敷” だった。
「ほかの業者からは、『お金をもらっても、いらない』と言われる状態でしたが、再生できると判断して買い取りました。たしかにゴミの処理は大変でしたが、家の基礎や壁・柱はしっかりしています。
内装と外装のリフォームに数百万円かかりましたが、ここまできれいにできるんです。周囲は駐車場つきの住宅ばかりで、駐車場としての需要はない。でも、この街に移住したい家族向けの需要はあるはずです」
ここまでリフォームできるとは、驚愕! とはいえ、どのような手順でリフォームを進めればよいのだろうか。
「まずは複数の不動産業者に相談し、インフラや周辺の環境を加味した、不動産の価値を見てもらうことですね。
リフォーム工事自体は、業者にまかせるのが安心です。ただ、材料をどれにするかを相談したり、一部をDIYにすることでコストは抑えられます。コストをかけず、今ある建物を生かすのが大切です」
一方で、両親が亡くなる前から活用方法を決めておくのが大切だと語るのは、相続問題に詳しい木野綾子弁護士だ。
「資産価値の低い田舎や郊外に実家がある場合、相続する子供のために、実家をリフォームしたり解体する費用ぶんのお金を遺してもらう方法をとるべきです。資金があれば、再活用にも積極的になれます」
資産価値ゼロの “お荷物” 実家も、リフォーム次第で “カネのなる木” に生まれ変わるかもしれない。
(週刊FLASH 2020年9月1日号)