以前は大手キャリアからの乗り換えでは、スマホが使えなくなる期間が1日か2日あったのだが、現在それは1~2時間程度に短縮され
ている。
乗り換えの際に新しいスマホに買い替える人が多いが、これまで使っていたスマホも、そのまま使えるケースがほとんど。もちろん、データの移行もほとんどが可能だ。
チェックすべきは、自分が毎月何GB使っているかという、データ通信量だ。
「直近の月だけでなく、できれば半年分くらいは、さかのぼって確認してみてください。使用データ量に合わせて、プランを選べばいいのです」
じつは、スマホ利用者の約6割は、月に3GB以下しか使っていないというデータがある。月間使用量は1GB=29%、2GB=16.7%、3GB=13.4%で合計59.1%。そして7GBまでの累計では、約79.2%となっている(「MM総研」調べ)。月に10GB、20GBも使うような人は少ないのだ。
実際に3GBもあれば、かなりのことができる。ウェブサイトなら1万ページ以上の閲覧、音楽ダウンロードは約750曲(1曲4分として)、LINEのトークは、なんと150万通以上が可能だ。もっともデータを消費するのが動画の視聴だが、それでも12時間以上も観ることができる(YouTube/標準画質)。
あとは、「家族割」のようなサービスがあるかどうか。各社によって違いがあるので、そこも選ぶポイントだ。
「格安スマホの料金は、各社それほど差がありません。大手キャリアから乗り換えれば、月に数千円は安くなるので、そこで数百円の違いを気にするのは、あまり意味がないといえます。
ポイントは通信速度、ショップなどのサポート体制、家族割などがあるかどうか。家に光回線があり、Wi-Fiの環境があるようなら、3GBあれば十分です」
一方で、最近話題の5Gは、格安スマホでも使えるのか?
「iPhone12など、5G対応の機種は、多くの格安スマホで動作が確認されています。ただし、5G回線を使える格安スマホは、まだほとんどありません。
大手キャリアでも5G回線が使えるエリアは、ほんの一部ですし、エリアどころかスポットといった程度なのが実情。いずれはエリアも広がり、格安スマホでも使えるでしょうが、まだ先のことです」
テレビCMでよく見る、「楽天モバイル」は?
「月額2980円が1年間無料、自社回線使用ならデータ容量は無制限など、華々しいキャンペーンで注目を集めていますが、現実はかなり厳しい。2020年4月から自社回線設備を持つMNOになったわけですが、基地局の整備は、まだまだ途上です。東京23区内は自社回線エリアですが、多摩地区などはエリア外が多い。
エリア外ではauから電波を借りているのですが、それは月に5GBの上限あり。しかもauとの契約が順次終了しているので、最近では『都心でも“圏外”になる』と話題になっています。1年間無料は魅力的ですが、あくまで住んでいるところがエリア内であれば、の条件つきでしょう」
では最後に、法林氏が推す、格安スマホはどこか?
「サブブランドではUQモバイル、MVNOではmineoです。UQモバイルは、ワイモバイルの後追いという感じでしたが、最近はauの一部サービスを利用できるようにしてきたり、店舗も少しずつ増やしているので、移行ユーザーには安心感が大きいと思います。
mineoは『マイネ王』という、ユーザーサイトのサポートが魅力。しかも自社のサービスだけでなく、他社サービスを含めた情報が載っていたりして、mineoの懐ろの深さを感じさせます」
じつは本誌記者も、3年前に格安スマホに乗り換え。家族3人で月に2万円近くかかっていたのが、約7000円に! 難点は、昼や夕方はネットにつながりにくいことくらいだが、今回の取材で再度乗り換えを決めました。あなたも、レッツ・トライ!
ほうりんたかゆき
1963年生まれ ITジャーナリスト。携帯電話やPC関連の記事を多数執筆。『できるZoom ビデオ会議が使いこなせる本』(インプレス)など著書多数
(週刊FLASH 2020年12月8日号)