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出口治明氏が実現!ライフネット生命の「副業応援体制」30代社員3人の働き方は?
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「子育て部」部長を務める中野さん。イクメンの様子をブログにつづっている
事務企画部に籍を置く中野豪介さん(37)には、「子育て部部長」という、もうひとつの “肩書” がある。子育て部とは、社内の部活動のひとつで、子育て中の社員に、集まりの場を提供するというもの。
「月に1回、子育て中の “部員” たちが集まって、ランチをしながら情報交換するんです。いらなくなったオモチャをシェアしたりすることもありますが、なにより先輩パパ・ママたちに子育てについて相談できるのが、すごくありがたいですね。
私が、育児に疲れている妻を見て、『たまには2人で食事でもしたほうがいいんでしょうか』と言ったら『ダメダメ、奥さんをひとりにしてあげなさい』と、先輩ママに叱られたことがありました。そのときは、『なるほどな』と思いました」
中野さんは生命保険会社3社、保険代理店1社を経て、2019年4月に入社した。
「じつは転職を決めた理由も、子育てへのバックアップ体制が整っているところに、魅力を感じたからなんです。私の場合、4月1日に入社して、4月7日に息子が生まれました。入社して1年めで、育児休暇を取ることができました」
労働時間についても、それまでの会社より明らかに減ったという。
「以前は21時、22時までの勤務が当たり前。日によっては、終電ギリギリということもありました。『こんな生活じゃ、子供が生まれたら破綻してしまう』と、妻が心配していたんです」(中野さん、以下同)
現在では、18時には帰ることができる生活に。
「当初は早く帰ると、どこか罪悪感めいたものがあったんですが、今では、逆に残業しているほうが居心地が悪いくらいです。いちばん最後に帰る人がオフィスの鍵をかけるんですが、私は鍵を持っていないので、オフィスの人が減り始めると『自分も早く帰らなきゃ』って、ソワソワしてしまいます」
仕事を「減らす」ことを意識すると、予想外のメリットもあった。
「保険の契約、支払い時の手続きや書類を簡便にすることで、お客様の負担も軽減することができます。仕事を減らすことは、自分のためではなく、お客様のためにもなるんです」
入社直後に生まれた子供は、1歳7カ月になった。今も「早く帰って息子に会いたい!」という気持ちが、仕事への大きなモチベーションとなっている。
理想を具現化したライフネット生命の働き方だが、人事ジャーナリストの溝上憲文氏は、企業がこういった制度を導入する難しさを指摘する。
「普通の会社ではたとえば、労働時間を減らすために仕事を減らそうといっても、上司から指示された仕事をなかなか無視できません。
また、副業を奨励していますが、本業で成果を上げながら副業もこなせるのは、普通の人が7時間かかる仕事を3時間で終わらせることができるスキルの持ち主。有能かつ効率的に仕事ができる “スーパーマン” ばかりではない以上、会社はなかなか『副業OK』に踏み切れないのが現実です。今回、登場しているのは、いずれも有能な方です」
日本中の職場が「天国」になるのは、まだ遠い話だ。
(週刊FLASH 2020年12月8日号)