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お尻拭きの正解は「ポンポン、ギュッ」排便姿勢は「考える人」…コロナ禍で肛門が危ない!

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2020.12.06 11:00 最終更新日:2020.12.06 11:00

お尻拭きの正解は「ポンポン、ギュッ」排便姿勢は「考える人」…コロナ禍で肛門が危ない!

 

 11月には「いいお尻の日」が2日ある。まず11月4日。「11」を「いい」と読み、「04」を「お尻」と読ませる。人気の児童文学『おしりたんてい』主人公の誕生日でもある。もうひとつは11月30日。「11」は同じく「いい」、30日は月末で “お尻の日” というわけだ。

 

 

 いいお尻になるためには、排便がスムーズで、健康であることが大事。お尻の病気といえば、まず思いつくのは「痔」だ。大腸肛門病専門医である平田雅彦先生によると、コロナ禍のなか、じつはお尻に危機が訪れているという。

 

「リモートワークで座り続けると、お尻の血管が潰されて、血が巡りにくくなります。結果、お尻から出血する患者が増えているんです。

 

 長く座る、運動不足になる、便秘になる。便秘になると息むから、痔の場合はよけいに腫れて悪化する。痔だと思っていたら、直腸ガンだったという人も多い。欧米では40歳を超えたら2年に1回、大腸内視鏡検査を受けるのが当たり前です。

 

 もともと痔を患っている人は、出血しても『どうせ痔だろう』と気にしない、これがよくない。『黒い便でなければ大丈夫』という話もありますが、それは大腸ガンなど、もっと腸の奥の話で、直腸ガンの血は赤いんですよ。

 

 痔の人は平均7年間、病院に行くのを我慢するというデータもあります。肛門科は入りづらい、手術が怖いなどの理由ですが、肛門から出血があったら、とにかく病院に行くことです」

 

 社会情勢が、お尻を痛めつけている。どうすればいいのか。

 

「1時間座ったら、立って10m歩く。運動することで、排便にも好影響が出てキレがよくなり、お尻を拭くのも楽にすみます。

 

 基本的に、排便は毎日1回、息まずに出るのが基本。便秘はもちろんよくないし、一日に3回も4回も出るのもよくない。息まないで便が出るように “作られている” のが、お尻なんです」

 

 排便時には、便が自然に滑り下りてくるように、前傾姿勢が最適とのこと。

 

「イメージは、ロダンの『考える人』です。前傾姿勢になると、直腸がまっすぐになるので、軽く息むだけでいい。ツルッと出てきて、残便感がないのが理想となります」

 

 排便後はお尻を拭くわけだが、温水洗浄便座の使い方にも、コツがあるという。

 

「よく『強』の水流を好む人がいますが、厳禁です。水圧というのは、石を切るカッターにも使われるくらいですから、強い水流を使っていると、肛門周辺の粘膜に炎症を起こしてしまうことがあります。

 

 また、強い水流を好む方は、肛門にお湯を入れて浣腸代わりにしている。これに慣れすぎると、刺激がないと便が出ない “シャワー依存症” になってしまいます。温水洗浄便座でないと、排便できないなどの症状が出ることがありますから、絶対に避けましょう。

 

 いちばん弱い水圧で、『ワイド』や『やわらか』という機能があれば、それを使いましょう。お尻全体をタライにつけて、チャプチャプ洗うようなイメージですね。

 

 お尻を洗ったら、前からでも後ろからでも構わないのですが、柔らかいペーパーで、“ポンポン、ギュッ” と、押し拭きしましょう。水滴を吸い取るようなイメージです。

 

 ゴシゴシとこするのは、肛門のシワに便を擦り込むようなものです。小さな傷などがあれば、そこから炎症を起こすこともあります。お尻は優しく洗うことを心がけましょう」

 

 すでに痔を患っている人は、どうすればいいか。じつは痔は、ほとんど手術の必要はないという。

 

「世界的に痔は、生活習慣病と考えられていて、あまり手術はしないんです。いぼ痔(内痔核)の手術率はドイツで7%、イギリスは5.5%、アメリカは4%。これが、日本では30%超となってしまう。

 

 運動をして食生活に気を遣い、よく睡眠を取ってストレスを軽減するセルフケアを心がければ、手術をしなくても治せます。ウオーキングは一日5000歩以上、食生活では食物繊維を積極的に摂取しましょう。海藻や豆類、麹や味噌、ヨーグルトやキムチなどの発酵食品がおすすめです。

 

 お酒は、炎症の原因物質であるアルカロイドが含まれる醸造酒(日本酒、ビール、ワインなど)よりも、蒸留酒(焼酎、ウイスキーなど)のほうがマシですが、飲みすぎはダメ。

 

 お尻を労わらないと、痔瘻(肛門周辺に穴が開く)になってしまうこともあります。これは手術しないと治りませんし、ガン化する可能性が高い。こんなご時世ですが、お尻の健康を保っていきましょう」


ひらたまさひこ
「平田肛門科医院」院長。筑波大学卒業後、大腸肛門病の専門医となり、1987年「平田肛門科医院」3代目院長に就任。「手術をしないで治す」を信条とする。『自分で痔を治す方法』など、著書多数

 

(週刊FLASH 2020年12月15日号)

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