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精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」目標達成率10倍アップの5習慣
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.01.25 06:00 最終更新日:2021.01.25 06:00
(3)「ちょい難」の目標を設定する
目標を達成できない理由としてありがちなのは、「目標設定が間違っている」というもの。最初から、無理、無謀、無茶な設定をすると、脳が拒絶反応を起こします。
たとえば、会社の営業部。「今年の売り上げ目標は、前年の2倍!」。そんなことを言われても、売り上げを2倍にするって、ほとんど無理ですよね。では、「売り上げ20%アップ!」だと、どうでしょう。頑張ればなんとか達成できそう、という目標になりました。
人間の脳は「ちょい難」、つまり「ちょっとだけ難しい」を好みます。一生懸命頑張ると、ギリギリでなんとかクリアできる難易度です。「ちょい難」の課題に挑戦するときに、脳はドーパミンを最も多く分泌します。
ドーパミンは学習を司る脳内物質。これが分泌されると、意欲や集中力が高まり、仕事の生産性が上がる。記憶力も高まり、学習効率も飛躍的にアップする。つまり、ドーパミンが出ているかどうかで、仕事や勉強の効率がまったく違ってくるのです。ドーパミンは私たちの目標達成を加速させる「目標達成物質」ともいえるでしょう。
「売り上げ2倍!」という目標を立てても、「どうせ無理」という思いが先に来ます。人間は無理なことにエネルギーを注ごうとはしません。その結果、ドーパミンもまったく分泌されないのです。
テレビゲームについても同じことがいえます。RPGでの、中ボスとの対決。1回めのバトルで瞬殺できるくらい中ボスが弱いと、ちっともおもしろさが感じられない。かといって、20回戦っても毎回パーティが全滅させられるくらい強いと、やはりおもしろくない。途中でやめたくなるでしょう。
4〜5回めのチャレンジで倒すことができるくらいのレベルが、もっとも「おもしろい!」と感じさせてくれるはず。それが「ちょい難」であり、多くのゲームはそうした難易度で作られています。
目標を「ちょい難」に設定する。それだけで、あなたの戦闘能力は、20〜30%アップするーー。そんなイメージです。
(4)「年間目標」を行動の基準にする
「年間目標」は、あなたの行動基準となります。一日は24時間しかありません。限られた時間を、ほかに優先して「年間目標」に割り振らない限り、達成は不可能です。
たとえば、飲み会に誘われたけどイマイチ気乗りしないときは、「その飲み会は、自分の目標達成に役立つのか?」と自問します。私の場合、「その飲み会で出版に役立つ人脈を作れるのか?」「本の執筆にとって有益な、興味深い話が聞けそうか?」と考えます。そこに目標達成にプラスになる要素が見当たらなければ、迷わずお断わりします。
目標達成には、「時間術」も関係してきます。私たちの日常業務は、目標達成とは無関係な「雑用」であふれています。そうしたものを極力減らし、目標達成に関係した重要なタスクに時間を割り振る。こうして、「年間目標」を行動の基準にできれば、目標達成率は飛躍的に高まります。
(5)遊びの目標も設定する
仕事だけの年間目標だと、殺伐としていてちっともワクワクしません。そこで私の場合、仕事の目標と一緒に、遊びの「年間目標」も設定するようにしています。
その中に「年100本以上、月10本映画を観る」という年間目標があります。そして、観た映画は毎回感想を書いて、自分のメルマガで紹介しています。「1月、7本めの映画」という具合にカウントしているので、「今月はあと3本で目標達成だ」とモチベーションも上がります。
「ワクワクする」ときにもドーパミンは分泌されます。なので、年間目標の中に「趣味」や「遊び」などの、ワクワクする目標を盛り込むことで、全体の目標達成率をアップさせることができるのです。
今回の5つの習慣を実行すれば、本当に目標が現実化します。「まだ目標を立てていない」「目標を立てたけど、まだ頭の中だけにとどまっている」という人は、ぜひ実践してください!
かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年2月2日合併号)