サッポロビールが2月2日に発売した「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」。
同商品のラベルは、本来、「LAGER」と表記されるべき箇所が「LAGAR」と印刷されており、発売前にスペルミスが発覚。いったん販売が中止された。
しかし、SNSで「廃棄にするのはもったいない」「売ってほしい」という消費者からの声が上がり、「#EじゃなくてもAじゃないか」というハッシュタグも生まれ、発売を求める投稿が拡散していった。
こうした反響を受けて、サッポロビールは同商品をミスプリントのまま発売することを決定。発売後、売り場に置かれたPOPには「スペルは間違えたけど、味は間違いなし!」という宣伝文句も。印刷ミスを逆手に取った販促も注目を集めている。
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いまどきこういったミスプリント商品は珍しいが、探してみると実はいろいろな珍品が存在するらしい。
「エラー切手」というものがあるのをご存じだろうか。デザインのミスや、印刷、目打ちなどの製造上のミスがある切手のことを指す。切手商で「スタンプマテリアル」代表の大村芳弘氏が説明する。
「エラー切手専門の収集家というのは聞いたことがありませんが、一部では人気があり、高値になることもあります。
デザインのミスは意外と多く、収集家の間では常識的なものです。ただこれらは普通に販売されており、基本的にはプレミア価格がつくことはありません。
ただし、販売中止になったものは話が別。2010年発行の『ふるさと切手』シートで、北方領土の一部が表示されておらず、発行9日後に販売が一時中止となったことがあり、これは額面の5倍ほどの値で取引されています。
プレミア価格がつくのは、製造段階でのミスがある切手のほう。印刷されるべき色が抜けたり、ずれたり、目打ちがなかったりというもの。本来、出回ってはいけないものですから、数も少なく、高い値がつくこともあります」
某お宝鑑定番組では、印刷ミスで色抜けした切手シート1枚に800万円の値がつけられたこともある。また、日本最古の切手である「竜文切手」には額面が上下逆に印刷されたものがあり、『日本普通切手専門カタログ』での評価額は3500万円となっている。
世界はさらにすごい。有名なエラー切手「逆さのジェニー」は、2005年の競売で、切手では最高額となる297万ドル(約3億円)で落札されたのだ。
だが、プレミア価格を狙うなら、切手より硬貨のほうがよさそうだ。新橋スタンプ商会代表の寺田実氏が語る。
「『エラーコイン』には『穴なし』『穴ずれ』『傾打ずれ』(裏表で模様がずれること)などの種類があります。
なかでも人気が高いのが『穴なし』。穴のぶん重量が増えて選別段階ではじかれるため、もっとも流通量が少ないのです。『穴なし』はなぜか昭和50年製造のものが多く、それ以外のものがあれば、100万円以上になるはず。
造幣技術はどんどん精度が高まり、エラーコインはほとんど出なくなっているため、製造年が新しいものほど価値があります」
日ごろなにげなく使っている切手やコインに思わぬお宝があるかもしれない。
写真提供・サッポロビール、大村芳弘、新橋スタンプ商会
(週刊FLASH 2021年2月16日号)