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精神科医・樺沢紫苑の「読む! エナジードリンク」クラブハウスの熱狂を心理学的に分析

ライフ・マネー 投稿日:2021.03.01 06:00FLASH編集部

精神科医・樺沢紫苑の「読む! エナジードリンク」クラブハウスの熱狂を心理学的に分析

 

(4)動画は脳を疲れさせる

 

 ここ数年で、ユーチューブなどで動画を視聴する習慣が、私たちの生活にすっかり定着しました。その流れをコロナ禍が加速させたといっていいでしょう。

 

 動画は情報量が多く、視聴する人に大きなインパクトを与えます。しかし人間の脳は、そのリソースの80%近くを視覚情報の処理に使っているといわれるので、動画は脳を広範囲に興奮させて、疲れやすくさせます。

 

 日中、仕事でパソコンとにらめっこし、帰宅してからは動画、テレビ、ゲームなどの視覚系の娯楽を楽しむ……。これでは、一日中、脳は休まる暇がないでしょう。

 

 動画やゲームがおもしろいのは、脳が興奮するから。就寝前2時間以内の視覚系娯楽は、睡眠に悪影響を与えますので、できれば避けるべきです。

 

 一方のクラブハウスの場合、「音声情報」ですから、動画ほど情報量は多くありません。ですから、ラジオを聴いているような感覚で、2時間くらい連続で聴いても、「脳が疲れにくい」という特徴があるのです。

 

 私が高校生だったころは、夜中にラジオを聴きながら受験勉強したものです。そんな昔の深夜放送を彷彿させるのが、クラブハウスです。

 

(5)一回性/秘匿性の魅力

 

 クラブハウスが、今までのSNSと違う最大の点は、アーカイブ(記録)が残らない、残せないことです。

 

 ユーチューブなどの配信ライブを見逃したとしても、多くの場合は後で録画が公開されます。

 

 しかし、クラブハウスでは、記録が残せないし、「録音」も禁止。そして、ルームで話された内容を、ほかのSNSに書くことも禁止されています。つまり、今聴かないと二度と聴けない。希少性、「一回性」の魅力が大きいのです。

 

 また、内容がほかに漏れづらいので、スピーカーは「ここだけの話」ができる。聞いたことがないような「裏話」「とっておきの話」が出やすいわけです。これも「渇望マーケティング」のひとつといえるでしょう。

 

(6)アウトプットの練習の場

 

 クラブハウスのすごいところは、テレビに出ている芸能人やベストセラー作家などの有名人と直接、話せるということです。

 

 1000人以上が参加しているルームで、「質問がある方は挙手してください」と募っても、1人、2人しか手が挙がらないことがよくあります(挙手ボタンというのがあります)。

 

 1000人もの前で話をするというのは、非常に緊張するかもしれませんが、憧れの芸能人やタレントと話せるなんて、めったにないチャンスです。

 

 しかも「話す」というアウトプット力を鍛えるうえで絶好の機会ですから、積極的に挙手すべきでしょう。

 

「話し下手だからクラブハウスなんて無理」と考えるのではなく、話し下手だからこそ、クラブハウスを上手に活用したいものです。

 

 今回はクラブハウスについて心理学的に分析してみましたが、ひと言で言えば「チョーおもしろい」ということ(笑)。iPhoneなどの利用者は、始めてみるとよいでしょう。 

 

 始め方は簡単です。AppStoreから、「Clubhouse」アプリをダウンロードして、すでにクラブハウスを始めている招待枠のある友人から、招待してもらってください。

 

 ちなみに、樺沢のクラブハウスのアカウントは、@zionkabasawaです。あるいは、「樺沢紫苑」と検索すると出てきます。

 

 樺沢のルームであれば、「質問」募集のタイミングで挙手していただけると、樺沢と直接、話せるかもしれません。ぜひ、フォローしてください。

 

 

かばさわしおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動

 

イラスト・浜本ひろし

 

(週刊FLASH 2021年3月9日号)

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