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精神科医・樺沢紫苑の「読む! エナジードリンク」転勤・異動のストレスを減らす6カ条
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.08 06:00 最終更新日:2021.03.08 06:00
「転勤うつ」「引っ越しうつ」という言葉をご存じですか?
文字どおり、転勤した後、引っ越しした後にうつになる人が多いということです。これらは大きなストレスになり、心身にダメージを与えやすいんですね。
私は、今まで10カ所以上の病院に勤務してきて、いずれも違う土地だったため、10回以上引っ越しをしてきました。そのため、転勤や引っ越しについては、かなりの経験やノウハウがあると自負しています。
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今回は、この時期増えてくる転勤や引っ越し、そして、転勤と同じくサラリーマンにとっては切っても切れない人事異動に関して、それらがもたらすメンタルの危機を回避するポイントを、6つに絞ってお伝えします。
(1)転勤や異動は自己成長のチャンス!
人間は、「環境の変化」に非常に弱い生き物です。昨日と同じことを、今日も同じやり方でこなす。これが、最もストレスの少ない生き方です。
しかし、同じことを繰り返す毎日では、「自己成長」がありません。「困難」「苦難」を乗り越えることで、人間は成長できるのです。
転勤や異動を「面倒だ!」「不安だ!」などと感じる人は多いでしょうが、だからこそ、それにともなう困難や苦難をうまく乗り越えたときに大きく成長できる。転勤や異動は、自己成長を成し遂げるうえで絶好のチャンスなのです。
(2)転勤・異動=人間関係のリセット
転勤や異動をすると、今まで作り上げた人間関係やコネクションがほとんど役に立たなくなることがよくあります。
そして、新しい職場には、どんな人がいるかわからない。意地悪な人やあなたに嫌がらせをする人もいるかもしれない……。そんなことを考えると、憂うつな気持ちになります。
転勤や異動とは、いわば「人間関係のリセット」。それは、マイナス面だけではなく、プラス面も大きいのです。
新しい職場の人たちは、あなたについての予備知識はゼロか、あってもそれほど多くはありません。あなたの短所や悪い癖、過去の失敗やトラブルについても知らない。
そのことを考慮に入れると、「人生をゼロからリセットしてやり直す」くらいのチャンスなのです。
前の職場では、あまりよい人間関係を築けなかったかもしれない。けれども、新しい職場では、心機一転、ゼロから作ることができる。そんなこと、人生のなかでめったにありません!
(3)最初にキーマンとの関係を築く!
新しい職場に転勤や異動をする際、前任者との間で「引き継ぎ」事項の確認をおこないます。ただ、「仕事内容」「業務」の引き継ぎが中心で、「人間関係」についてはあまり関心が払われないようです。
それぞれの職場には、「キーマン」といわれる人物がいます。役職は高くないけれども勤続年数が長く、職場の人たちの信頼が篤い「古株」的な人物がいたり、あるいは「お局」的な存在が、女性社員に影響力を持っていることはよくあります。
「古株」や「お局」は、役職こそあなたより下でも、年齢は上だったりすることがあります。そうした人たちは、現場のことを熟知していて、仲よくなると仕事のことや表に出てこない人間関係などを教えてくれたりします。
しかし、あなたが上司としての権威を振りかざしたり、前の職場のやり方を強要したり、高圧的な態度をとったりすると、ほかの社員は表面上はともかく、内心ではキーマンに従います。
彼らがあなたとの間に「見えない壁」を築くリスクはおおいに高まるでしょう。
キーマンに対しては、「長年の知識、経験」に敬意を払った態度で接するのがポイント。一気に打ち解けることができるはずです。
そうしたキーマンの存在、職場の人間関係、上司の性格、問題社員の有無などの情報は、ぜひ、転勤や異動前に前任者から詳しく聞いておきたいところです。
あらかじめ心構えができていれば、余裕をもって対応でき、人間関係をこじらせるリスクを大きく減らせます。