「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!
【お悩み/匿名希望(43)会社員】
小学生の娘が、アイドルを目指して芸能人養成学校に通いたがっている。妻は乗り気だが、残念ながら私の娘。ルックス的に絶対に無理だ。金がもったいないわけではないが、向いていないことは、やめたほうがいいと思う。2人に何と言えば良いのか。
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【山口先生のお答え】
あなたはとても優しいお父さんですね。あなたが反対する理由は、ゆくゆく娘さんが傷つくと分かっているから、守りたいのですね。私はあなたの親心に感動しましたが、アイドルになりたい一心の娘さんは、いくら説明しても聞く耳を持たないでしょう。
アイドルの成功不成功を決めるのは運です。いくら容姿に恵まれて才能があっても、運がなければダメです。私は娘さんを知らないので成功不成功については分かりませんが、一度芸能人養成学校に通わせてみるのも良いかもしれません。きっとすごい美少女や歌やダンスの上手い子が大勢いるでしょう。その中に放り込まれれば、自ずと自分のレベルが分かります。
私が宝石店で働いていた当時、モデルクラブ出身の美人店員の中で「絶対に容姿で勝負は出来ない」と自覚して、面白さを武器に選んで磨きをかけたように、娘さんも自分だけの武器を発見出来る可能性もあります。一度水に落ちてみないと、水の冷たさは分からないのですよ。
やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中