ライフ・マネー
キューピットは人工知能…婚活パーティーでカップル成立率も大幅アップ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.03.27 16:00 最終更新日:2021.03.27 16:00
令和の時代は、人工知能(AI)をはじめとする先端技術が主役になるともいわれる。それは婚活でも例外ではないようだ。
先端技術が人間に会話のきっかけや盛り上げ役となったり、相性のいい人を探したりと新たな「仲人さん」の役目を担う現場に向かった。
結婚相談所の「ツヴァイ」が活用しているのは、握手やタッチといった体に触れる動作で情報を伝える「人体通信技術」。
【関連記事:わが子に学んだ「自閉症」驚きの「逆さバイバイ」「クレーン現象」とは?】
2019年6月に開かれた婚活パーティーでは、リストバンドをして参加した男女が挨拶で握手をすると、趣味、出身地から飲酒・喫煙の有無や結婚歴まで、お互いのプロフィールがタブレット端末の左右に表示された。
参加者は「映画が好きなんですね」「お酒は家でも飲みますか」などとタブレットを見ながら会話を進めた。お互いの理解を深めるきっかけにするため、同年4月から婚活パーティーに導入した。
2回目の一対一の時間では、2人で手を合わせるたびに「100万円手に入ったらどうしますか」「共働きを希望しますか」といった質問が画面に現れ話に花が咲いた。
参加した神奈川県の男性(47歳)は、「お金や結婚後の働き方については、初対面で自分からは聞きにくい。でも、結婚するには知っておきたいことなので、スムーズに知ることができてよかった」と高評価だった。
結婚に欠かせない価値観を先にすりあわせることができたからか、他のパーティーよりもカップル成立率が10~20%程度高いという。
今はまだ、データを交換するだけだが、ツヴァイの担当者は、「盛り上がった話題などのデータを蓄積して成婚率アップにつなげたい。将来的には触れると『運命の相手』が分かるようなシステムを作ってみたい」と夢を語る。
少子化に悩む地方自治体もAIによる結婚支援に着目する。婚姻率が全国ワーストの秋田県。県や県内市町村などが運営する「あきた結婚支援センター」は、2020年1月からAIを活用したマッチングサービスを始めた。
婚活支援サービスの「パートナーエージェント」(現タメニー)が開発したシステムを利用して、会員が価値観や性格などに関する100以上の質問に回答すると、過去の交際・成婚データなどからAIが相性の良い相手を会員から選び出してくれる。
これまでは会員が県内3カ所にあるセンターに足を運んで、相手の検索や「お見合い」の申し込みをする必要があった。お見合いの日程も職員が電話で調整するなど、昔ながらの手続きをしていたため、手間がかかっていた。
現在では、会員がパソコンやスマートフォンを使って活動を進めるため、職員の業務効率化にもつながるという。
秋田県次世代・女性活躍支援課の担当者も、「ネット婚活などが広がる中で、若い世代には、わざわざセンターに出向いて相手探しをすることに抵抗がある人もいる。気軽に登録し、AIで素敵な相手を見つけてほしい」と話す。
県によると、2021年1月末現在ですでに8組が結婚したそうだ。結婚までの期間が1~3カ月と短いのも、AIが相性の良さを後押ししてくれているからかもしれない。
同じシステムはすでに福島県や埼玉県、福井県でも導入されている。効果が出ればさまざまな自治体で導入されていく可能性もある。結婚式の挨拶で「キューピットはAIです」と紹介される日も近いかもしれない。
※
以上、筋野茜氏、尾原佐和子氏、井上詞子氏の新刊『ルポ 婚難の時代 悩む親、母になりたい娘、夢見るシニア』(光文社新書)をもとに再構成しました。共同通信の女性記者3人が現代人のリアルな結婚観に迫ります。
●『ルポ 婚難の時代』詳細はこちら