■アウトプット力を鍛えるには?
こうした状況に対応しようとする動きは、学校教育の場に少しずつですが現われてきています。
生徒同士が教え合うアクティブラーニング(能動学習)が始まっていますし、2021年度からの大学入学共通テストや新学習指導要領でも、思考力、判断力、表現力を重視することが発表されています。
アウトプット力が重視される時代になりつつあるといっていいでしょう。
ただ実際には、今も学校ではインプット型、詰め込み型の教育が主流です。
そのため、子供たちがアウトプット力を身につけるには、一人ひとりが自分でトレーニングをしなくてはいけない。アウトプット力とは、おもに「話す」「書く」力。
これらは、親がサポートしてあげれば、日常生活のなかで十分身につけることができます。
アウトプットのトレーニングでいちばん簡単なのは、本を読んだり映画を観たりしたあとに感想を「話す」「書く」こと。子供にアニメを観た感想を話してもらう、というのもいいでしょう。
たんに「おもしろい」「おもしろくない」ではなく、どこがどうおもしろいのか具体的に説明をさせる。それを続けていくと、アウトプット力は鍛えられます。
また、「人に教える」というのは、最高のアウトプットのトレーニングになります。
子供が漫画を読んでいたら、「どんな物語か教えて」と聞いてみる。子供は、自分の好きなことに関しては、積極的に語ります。
そうした「アウトプット」を引き出す「質問」や関わりを、親は常に意識するべきです。
「話す」「書く」を通して自分の体験や感情が他人に伝わることは、とても「楽しい」ことです。その「楽しさ」を知れば、子供たちは、勝手にアウトプットを始め、勝手に成長していくのです。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年4月20日号)