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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」日本人が凶暴化してきた脳科学的な理由とは
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.05.31 06:00 最終更新日:2021.05.31 06:00
■凶暴化する日本人
競泳女子の池江璃花子選手に対し、五輪出場辞退を迫るなどの誹謗中傷に近いコメントがSNS上へ多数寄せられているといいます。コロナ禍で白血病を克服し、東京五輪代表入りを決めた池江選手の気持ちを思うと、心が痛むと同時に怒りを禁じ得ません。
そもそも当たり前のことですが、一選手の言動で、オリンピックが中止になることはありません。実際、聖火リレーでは、影響力があるとされる芸能人や著名人でランナーを辞退する人が続出していますが、リレー自体は依然として続いています。
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五輪は中止するべきーー。その攻撃の矛先を、代表選手個人に向ける発想はいったいどこから来るのでしょうか。
このことに限らず、コロナ禍に突入してから、ルールを守らない人を過剰に攻撃する「自粛警察」「マスク警察」の出現、不祥事を起こした芸能人や政治家への過剰なバッシングなど、日本人が攻撃的になり、凶暴化してきているように思います。
そして、それが最近、ピークに達している感があります。
「凶暴化する日本人」。一見、原因不明の社会現象も、脳科学的に見ると原因ははっきりしています。それをひと言で表わせば「脳疲労」「扁桃体の興奮」、つまり「コロナ禍でのストレスが限界に達している」ということです。
■「闘う」か「逃げる」か
「不安」や「恐怖」の状態にあるとき、ヒトの脳内では「扁桃体」(脳の奥にあるアーモンド形の器官)が興奮しています。扁桃体には「危険の警報装置」としての役割があります。
太古の昔、ヒトは猛獣に出くわしたときに、危険を察知して、0.1秒に満たない速さで、「闘う」か「逃げる」かの判断を下していました。このとき、人の脳内ではノルアドレナリンというホルモンが分泌されて、「不安」な気持ちになったり、「恐怖」を感じたりします。
そして、このノルアドレナリンは、「闘う」か「逃げる」かの判断を私たちの脳に迫ってきます。つまり、扁桃体が興奮した状態では、「何もせずに様子を見る」ということはできないのです。
■慢性化したコロナストレス
言うまでもなく、私たちは今「新型コロナウイルス」という恐怖に直面しています。つまり、扁桃体は興奮し、「不安」や「恐怖」に包まれた状態で、毎日生活しているのです。
平常時には、扁桃体はOFFの状態になっています。ひとたびストレスにさらされるとONの状態になり、それが慢性化したら、扁桃体の興奮状態がずっと続いて、OFFにならなくなります。
扁桃体がONの状態とは、わかりやすく言うと「火災警報器」が鳴っている状態です。24時間、警報器が鳴り続けるとどうなるでしょうか? 心も体も疲れ果てる。つまり、「脳疲労」の状態に陥るのです。
「慢性的なストレス」状態に陥った場合、2~3カ月が我慢できるひとつの目安となります。コロナの不安というのは、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染が発覚した昨年の2月初旬ごろから日本でも広がりはじめ、もうすぐ1年半になろうとしています。
2~3カ月をはるかに超える長さですから、多くの人たちが「脳疲労」や「うつ病」の前段階へと追いつめられていても不思議ではありません。それが、「日本人の凶暴化」の原因になっているのではないかと考えます。