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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」親の認知症を早期発見する5つのポイント

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.07.19 11:00 最終更新日:2021.07.19 11:00

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」親の認知症を早期発見する5つのポイント

認知症を早期発見する5つのポイント

 

認知症は他人事ではない

 

 アルツハイマー病は発病する約20年前から徐々に進行していますが、高齢者でない人たちは「自分が認知症になるかもしれない」ということにまだリアリティを感じないと思います。ある意味、「他人事」。しかし、今回は絶対に他人事ではない話をしたいと思います。

 

 

 それは、あなたのご両親――おそらく高齢者といわれる年齢に達していると思います――は、きわめて高い認知症のリスクを背負っているということです。

 

 年齢別認知症有病率(厚労省調べ)によると、70歳以上で25人に1人が認知症ですが、80歳以上になると5人に1人、90歳以上では5人に3人の割合。つまり、長生きをするほど、認知症になる確率が高まるのです。

 

■介護地獄を防ぐのはあなた自身

 

「認知症になるのは仕方がない」と思っているかもしれませんが、最近は認知症のメカニズムも解明されてきており、予防法についての研究もたくさん見られます。

 

 予防法のなかで最も効果的なのは「1日20分以上の運動」と「睡眠をきちんと取る」ということ。そしてなにより重要なのは、「早期発見」です。

 

 認知症は不可逆的な病気です。つまり、一度発症すると治ることがない。あとは、ただ進行していくのみです。

 

 しかし、認知症の前段階に相当する「軽度認知障害(MCI)」の段階で発見できれば、「可逆的」。つまり、運動療法などによって健康な状態に戻ることができるのです。認知症は「予防」と同様に「早期発見」が重要ということです。

 

 自分の親が認知症になると本当に大変です。「介護」の時間的、金銭的な負担。そして、精神的なストレスも尋常ではありません。いつ終わるとも知れない認知症の「介護」は、「介護地獄」という言葉があるくらいの苦しみです。

 

 しかし、そのリスクは回避することができる。MCI、もしくは、認知症のできるだけ早期の段階で発見できれば、というのが条件です。

 

 認知症のひとつの型であるアルツハイマー病の場合、明らかに症状が現われて発病する20年も前から、徐々に脳内の病理的な変化は進行しています。つまり、認知症は「突然」なるものではなく、何年もかけて進行するものなのです。

 

 それゆえに、家族がきちんと観察していれば、認知症は早期に発見することが可能なのです。ほとんどの人は、記憶障害などがかなりひどくなってはじめて病院で受診しますが、それではもはや手遅れなのです。

 

 そこで、ここからは、「認知症を早期に発見する5つのポイント」について、解説します。

 

■その1 エピソード全体を忘れる

 

 認知症といえば、「物忘れ」の症状が顕著です。しかし、「名前を忘れる」「昔の出来事が思い出せない」などは、年を取れば誰にでも起き得ること。つまり、認知症に特異的な症状とはいえません。

 

 しかし、健常高齢者の「よくある物忘れ」と「認知症の物忘れ」には明確な違いがあります。認知症の場合、「エピソード全体を忘れる」ということです。

 

 たとえば、昼ご飯を食べたのに、「食べたっけ?」と言い出すとか、「何を食べたか思い出せない」と言うことは、健常高齢者でもあり得ることです。「食べたのはうどんですか?」などの質問によって、「いや、蕎麦だった」と思い出せれば、正常範囲。

 

「蕎麦を食べたでしょう」と教えてあげても、「いや、食べていない」と言い張る場合は、認知症が強く疑われます。

 

 ところで、「物忘れ」は認知症の主要な症状なのですが、「物忘れ」が強く出てくるのは、認知症を発症した後。進行しないと、はっきりとした「物忘れ」が現われない場合もあります。

 

 そのため、親の行動に「あれ、おかしいな?」と思うところがあっても、「物忘れはひどくないから」と様子見をしてしまう。つまり、「物忘れ」だけに注目すると、認知症を見逃す危険性があるので注意が必要です。そこで「物忘れ」以外の症状を観察することが重要になります。

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