(6)水分の摂取
人は眠っている間にコップ1杯分程度(約250ml)の汗をかくといいます。夏の蒸し暑い夜には、コップ2杯分を超える人もいるでしょう。そういうときは、きちんと水分を摂取しないと、脱水状態に陥る可能性があります。
実際、夏の熱中症の4割は夜間に起きています。また脳梗塞は6月から8月の夏場、睡眠中や朝の起床後2時間以内に起きやすい。脱水によって血液がドロドロになり、血管が詰まりやすくなるからです。
それらを防ぐためには、「寝る前」と「起きた直後」にコップ1杯の水分摂取をすることです。ただし、寝る前のお酒、コーヒー、お茶は水分に相当しません。アルコールやカフェインには利尿作用があるために、水分が尿として出てしまい、むしろ、脱水の原因となるのです。
寝る前と起きた直後に限らず、夏場は日中も水分の摂取を定期的におこなうべきです。脱水、熱中症予防だけでなく、夏バテの予防にもなります。
(7)寝具を工夫する
寝苦しい……。その最大の理由は何だと思いますか? 室温ももちろんありますが、じつは自分の体温なのです。私たちの体温(皮膚温)は通常36度前後あります。室温がいくら高くても、夜間に36度を超えることは珍しいでしょう。
結局のところ、自分の体温(熱)が、布団や毛布、マットといった寝具に伝導し、その熱が自分に返ってくる。エアコンを強めても寝苦しいのは、自分の体温が原因なのです。
最近、睡眠の質の向上を謳う寝具がいろいろ発売されています。そんななかで、私が愛用しているのが「温冷水眠マット」。これは、温度が調整できる水冷式のマットで、26~27度に設定すると背中がひんやりして気持ちよく、またエアコンのように寝冷えすることもなく、朝までグッスリと眠ることができます。
最近では、熱伝導率の高い「冷たく感じる」マットや空冷式のマットなどもあります。値が張るものも多いのですが、熟睡できて日中のパフォーマンスアップにつながるなら、リーズナブルな自己投資だと思います。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年8月17日・24日号)