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精神科医・樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」自分が発するマイナスエネルギーに要注意!SNSの悪口は100倍で返る
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.09.13 06:00 最終更新日:2021.09.13 06:00
■悪口は必ず相手に伝わる
人の悪口を言ったら「必ずその人に伝わる」と思ってください。親しい友人だけに言ったつもりが、当人にバレていたということは、現実の出来事としてよくあります。また実際に悪口を言わなくても、その人に対する態度や雰囲気などで、その人を好きか嫌いかということは非言語的に伝わってしまいます。
悪意を向けられると、悪意を返したくなるのが「悪意の返報性」であり、人間の本性なのです。人の悪口を言うほど、自分に対する悪口や嫌がらせ、イジメ、仲間はずれ、面倒な仕事を押しつけられる、仕事を手伝ってもらえないなどの、現実的な「マイナス」が襲いかかってきます。
「人間関係がうまくいかない」という人は、悪口などによって自らが発している「マイナスエネルギー」が周囲の反感を招いていることにそろそろ気づくべきです。そういう人が、やるべきことは簡単。悪口を言わない。たったそれだけで、人間関係は改善します。
■「内輪の発言だから大丈夫」は通用しない
「SNSじゃない。内輪の発言だから大丈夫」という人もいますが、それはまったく通用しません。東京五輪の開閉会式の演出統括であった元電通の佐々木宏氏が、女性タレントの容姿を侮辱する発言をし、辞任に追い込まれた問題は記憶に新しいと思います。この発言は、演出チームのLINEグループでのやり取りの中で出てきたものでした。つまり、仕事仲間しか見ないクローズドな場での発言だったのです。
そのメンバーの誰かがリークして、日本人のほとんどが知る事態へと発展しました。「友だちだけ」「メンバーだけ」の場であっても、誰かがSNSに流出させれば、本人にすれば「ダジャレ」のつもりがたちまち日本中の人の知るところとなる。その結果、人生を棒に振ることが、一瞬で起きる時代なのです。
他人を侮辱する発言や、差別的な発言、いつ、いかなる場面であっても、口にするべきではないし、ましてやSNSに書き込むべきではないのです。
■「匿名だから大丈夫」は通用しない
ツイッターの自分のアカウントとは別に、秘密裏に設けた匿名アカウント、通称「裏垢」。本名、個人情報などは一切バレていない。だから、どれだけ人の悪口を言ったりしても大丈夫、と思っている人もかなり多いはずです。これまた、完全に誤りです。
ハッカー並みの技術を持っていて、世界中のプロバイダーを数カ所経由して接続しているなら別ですが、自分のスマホから匿名で投稿しているような人は、個人が特定されると思ったほうがいいです。
実際に、ツイッターやフェイスブックなどへの投稿が「名誉毀損」と認められ、数十万円の罰金の支払いが命じられた判例も増えてきています。
「匿名だから大丈夫」というのはまったく通用しません。おもしろ半分、冗談で書いただけのツイートが原因で、裁判沙汰になるのです。罰金額は数十万円程度でも、自分の名前がネット上やリアルに晒されることになる。
会社、学校、家族、親戚全員に知られることになれば、職を失ったり、学校を退学しなければならない事態も出てくるでしょう。そんなリスクを取ってまで、ネットに悪口を書きたいですか。
■「悪意」の連鎖から「好意」の連鎖へ
悪口の多い人は、間違いなく、まわりに嫌われているか、警戒されています。自分が発したネガティブな感情が、「悪意の返報性」によってまわりから返されているのです。すると、おもしろくないので、さらに悪口を言ってしまい、自ら泥沼の人間関係を招いてしまうわけです。
そんな悪循環に陥らないためにも、「好意の返報性」を活用することをおすすめします。人に嫌われ、陰口をたたかれたり足を引っ張られたりするよりも、人に好かれ、信頼され、よい評判をたてられたほうが、はるかに楽しく豊かな人生を送れるでしょう。もちろん、仕事にもよい影響が出ることはいうまでもありません。
もし「最近ストレスのせいか、言葉づかいが乱暴になった」という人は、悪口を減らし、褒めや励ましといったポジティブな言葉を意識的に増やすようにしてみてください。「言葉」を少し変えるだけですから、それほど難しいことではないはずです。
悪口は絶対言うべきではありません。リアルでもネットでも。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年9月21日号)