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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」ビジネス書を自分の血肉にする「深読」の技術

ライフ・マネー 投稿日:2021.11.01 06:00FLASH編集部

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」ビジネス書を自分の血肉にする「深読」の技術

身につく読書術とは?

 

 ようやく夏の暑さもおさまり、集中して何かに取り組める時期になりました。「読書の秋」といいますように、この時期、読書に親しむのは、非常によいことだと思います。

 

 書店の新刊コーナーには、定期的に読書術に関する本が並んでいます。読書術は、ビジネス書の人気ジャンルのひとつといっていいでしょう。

 

 

 一方で、月に何冊も本を読んでいるのに、「自分の成長や仕事の改善にちっともつながっていない」と嘆く人もいます。なぜ読書をしても、結果につながらないのか? その理由と対処法、そして圧倒的に結果が出て、自己成長につながる読書術について、今回はお伝えします。

 

■「自己満足読書」では何ひとつ、残らない

 

 以前、こんな実験をしたことがあります。

 

 200万部を超える大ベストセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)は、私のまわりでも「読んだ」と言う人がたくさんいました。そのうちの30人に、「どこがよかったですか?」「アドラー心理学ってどんな心理学ですか?」と質問してみました。

 

 すると、ほとんどの人が無言になり、本の内容について何ひとつ話すことができなかったのです。1分以上話せた人が、2割ほど。本の内容について饒舌に語った人は、30人中たった2人。ちなみに、その2人は心理学の講師でした。

 

 よく「本を読んだ」といいますが、じつは「読んだつもり」にすぎず、内容をあまり理解できていないことがよくあります。真に理解しているなら、本の内容を説明するのはたやすいはず。

 

 もし、ひと言も語れないとしたら、それは「何ひとつ、記憶に残っていない」のと同じです。まったく記憶に残っていないことを行動に移すのは不可能ですから、自己成長につながるはずもありません。

 

 結局、本を読んでも、なんの役にも立っていない。「自己満足」のための読書に終わっているのです。

 

■行動化して初めて現実が変わる

 

 情報が脳の中に入ってくることを「インプット」、情報を脳の外に出すことを「アウトプット」といいます。インプットは「読む」「見る」「聞く」、アウトプットは「話す」「書く」「行動する」です。

 

 読んだ本の内容を話さない、書かない、行動しない、実践しないならば、現実が変わるはずがありません。インプットだけでは、脳の中の情報が増えるだけ。現実世界に変化や影響を与えるためには、アウトプットが絶対に必要なのです。

 

 また本を読んで理解し、アウトプットして記憶に残したとしても、行動や習慣が以前とまったく変わらないのであれば、現実的な変化や自己成長は起きません。「行動化」によって、初めて現実や自分自身が変化し、成長していくのです。

 

 では、読書で身につけたことを実際の「行動」につなげるには、どうすればいいのか? 以下、5つのポイントをお伝えしましょう。

 

(1)速読、多読より「深読」を

 

「本をたくさん読むと、賢くなる。自己成長し、現実が好転する」と思い込んでいる人は多いのですが、完全な間違いです。本を100冊読んでも、その内容をアウトプットせず、行動化しなければ、現実は何ひとつ変わることはありません。

 

 本の感想を聞かれてひと言も語れないとしたら、100冊読んだところで、成長は期待できないでしょう。

 

 速読や多読をすすめる本がたくさん出ていますが、私はそれよりも「深読」が必要と考えます。深読とは、その本の内容について10~15分程度説明できるレベルで、内容を理解し、アウトプットできる水準の読み方です。

 

 では「深読」を身につけるには、どうすればいいのか?

 

(2)2週間に3回アウトプットする

 

 脳の仕組みからいうと、インプットだけでは記憶に残りません。もし、インプットだけで記憶に残るのなら、学校の教科書を一回読めば暗記教科なら100点を取れるはずですが、それが無理なのはわかりますね。

 

 2週間に3回、インプットしたことをアウトプットしていくと、脳が「その情報は重要」と判断し、「仮の記憶」から「長期記憶」へと移行させて、脳の記憶領域に留めようとします。「短期間に3回使われているのだから、次もまた使われるだろう」と記憶を強化するのです。

 

 具体的には、本を読んだら2週間以内に感想を「話す」「書く」。これを3回おこなうようにします。家族や友人、会社の同僚に感想を話す。あるいは、ツイッターやフェイスブックなどのSNSに本の感想を投稿するのも効果的です。

 

「2週間に3回アウトプットする」というとハードルが高そうに思えますが、意識しておこなえば、それほど難しいことではありません。最初のうちはうまく話せなくても、2人、3人……と話していくうちに、次第に上達していくことでしょう。

 

 話しているうちに、頭の中が整理されるので、新しい「気づき」が得られることも多いからです。10分話せれば、「深読」クリアです!

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