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コロナがもたらした「不登校児童21万人」子どもたちへの支援は喫緊の課題

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.11.29 11:00 最終更新日:2022.02.14 17:35

コロナがもたらした「不登校児童21万人」子どもたちへの支援は喫緊の課題

 

 新型コロナウイルスの大流行は、不登校やひきこもりを助長しました。

 

 2020年2月27日、当時の安倍晋三首相が、新型コロナウイルス感染症対策本部で、全国の小中学校と高校、特別支援学校に、臨時休校を要請する考えを表明しました。これを受け、3月2日から全国の学校の多くが、突然の休校を余儀なくされたのです。

 

 

 その後、4月7日に東京都など7都府県で史上初の緊急事態宣言が発令されたのを皮切りに、宣言は全国に拡大され、最終的に宣言が全て解除されたのは、5月25日でした。

 

 およそ3カ月という長期間にわたる休校が首都圏では続いたのです。日本全国の児童生徒がステイホームと称する、疑似ひきこもりになったわけです。これが、不登校やひきこもりだった生徒だけでなく、それまで不登校やひきこもりと無縁だった生徒たちにまで、大きな影響を与えました。

 

 例年では夏休みの後、ゴールデンウイークの後など、長期休み明けが一番不登校になりやすいタイミングです。それが、3カ月という例年にない長期間の休校になり、家にいるのが当たり前になってしまった。再開してもオンライン授業だったり、分散登校で行ったり行かなかったりして、家に長時間いる生活が許されてしまう環境になってしまったのです。

 

 こうした環境により、不登校や保健室登校が例年より増えたのです。日本教職員組合の調査では、学校再開後や夏休み明けに不登校や保健室登校が増えたと答えた学校は2割を占めたと報道されています(教育新聞2020年10月12日)。

 

 これに追い打ちをかけたのが、文部科学省の方針です。2020年4月10日、萩生田光一文部科学大臣(当時)は記者会見で、感染拡大の可能性が高いと保護者が判断して学校を休む子どもについて、校長が合理的な理由だと認めれば、欠席として扱わないという見解を出しました。

 

 その後に通知した「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」では、「臨時休業等に伴い、やむを得ず学校に登校できない状況にある児童生徒等については、各学年の課程の修了又は卒業の認定に当たっては、弾力的に対処し、その進級、進学等に不利益が生じないよう配慮する」と明記されました。

 

 これにより、各学校でさまざまな判断がされましたが、休んだ生徒を欠席扱いしない学校がほとんどだったと思います。欠席にならないのであれば、もともと不登校気味の生徒が休んでしまうのは当然でしょう。これにより、不登校が助長され、さらにその状況が見えにくい状態になってしまったのです。

 

 これまで文部科学省では、不登校を「年度間に連続又は断続して30日以上欠席した児童生徒」のうち、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く)」と定義してきました(令和元年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より)。

 

 しかし、コロナを理由に休んで欠席にならないのでは、本来不登校として数えられるべき生徒が、不登校にならなくなってしまいます。令和2年度の不登校が19万人とされていますが、実際にはコロナ感染回避のための欠席者2万人も不登校と考えられますので、合計すると21万人もの不登校児童生徒がいるのです。

 

 そして、こうした不登校の子どもたちのほとんどに、行政からの支援は届いていません。本来ならば、各自治体の教育委員会が設置する教育支援センター(適応指導教室)が、不登校の児童生徒を指導するということになっています。いわゆる公的なフリースクールです。

 

 しかし、教育支援センターと同センター所管の機関で相談・指導を受けた子どもを合わせても、合計約19%しかいません(同調査による)。高卒支援会で実態を調べたところ、一度でも相談をしたらこの数にカウントされるので、継続的に通っている児童生徒は、さらに少なくなり、数パーセントしかいないのです。

 

 どういうことでしょうか。つまり、不登校の子どもたちのほとんどが、何も支援されていないのです。このまま放っておけば、ひきこもりにつながっていきます。長期化すれば8050問題(高齢になった80代の親が50代のひきこもりの子を抱えて生活に困窮する問題)に発展してしまいます。

 

 東京都では、公立中学校の卒業式を約3000人の生徒が欠席しています。不登校の状態のまま卒業になってしまうのです。この子どもたちはこの後、一体どうなるのでしょうか。放っておいていいのでしょうか。

 

 これは国家の大きな損失にもつながります。

 

 こども庁の創設が議論されていますが、中でも、不登校・ひきこもりは喫緊の課題です。ひきこもりの子どもが、将来自律して生活できるようにならなければ、生活保護を受けることになります。財政破綻も見えてきます。子どもたちへの支援がいかに重要かおわかりいただけるでしょうか。

 

 

 以上、『不登校・ひきこもり急増~コロナショックの支援の現場から~』(光文社新書、杉浦孝宣/NPO法人高卒支援会著)をもとに再構成しました。不登校・ひきこもりが見えなくなっている状況で、支援現場はどのような対応を迫られているのか。

 

●『不登校・ひきこもり急増』詳細はこちら

 

( SmartFLASH )

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