(3)すべてのタスクを書き出し、進捗管理
まず、今年中に終わらせなければいけない仕事(タスク)をすべてリスト化しましょう。すると「山ほどある」と思っていた仕事も、実際は少し大きめのプロジェクトが「3つある」だけだったりすることがわかります。次に、その3つのプロジェクトを10個以上に細分化します。30個くらいのタスクに分けられるでしょう。
今年が残り20日として、1日1.5タスクを終わらせれば、年内に仕事が終わる計算になります。少し余裕をみて、1日2タスクずつ片づけていけば、不可能と思えた年内の仕事完了も夢ではなくなります。
このタスクを紙に書き出したり、プリントアウトしてデスクや手帳に貼りつけておくのもいいでしょう。それを見ながら現在の仕事の進捗状況を客観的に把握することで、「前日までの段階で2タスク遅れているから、今日は追いつかないと」などの目標がはっきりしてきます。
反対に、漠然と仕事を進めていたら、どこまで終わって、あとどれだけ残っているかがみえてきません。ギリギリになって、「こんなに仕事が残っている」と焦ることになるのです。
残りの仕事量がみえると、脳は活性化します。これを心理学では「終末努力」といいます。残りわずかということがわかると、「これでノルマ達成!」と終末努力が働き、集中力アップホルモンのノルアドレナリンが分泌されます。
このように、タスクリストを作って進捗管理をすると、モチベーションがものすごく上がります。
私は、本の執筆をするときは、「今日の執筆文字数」「累計執筆文字数」「残り執筆文字数」をエクセルで管理します。こうして作業を管理すると、楽しんで執筆ができるのです。これも、ドーパミンのなせる業です。
(4)制限時間を決める
仕事を山のように抱えている人は「とりあえず今日やるべき仕事をすべて終えたら帰る」と考えがちですが、それが仕事のパフォーマンスを下げる原因です。
1日の初めに「今日の仕事は19時までにすべて終わらせる」と決め、その目標に向かって緊迫感を持って仕事をする。そうすると、集中力アップホルモンのノルアドレナリンが分泌されて、実際に19時に仕事が終わります。
「今日やるべき仕事をすべて終えたら帰る」という人は、残業前提で仕事をしがちなので、全力で仕事に臨む気持ちが生まれにくいものです。
制限時間を決めるのは、とても大事なこと。そうすることで脳に「喝」が入り、実際に作業効率はアップします。退路を絶つ意味で、終業後に約束を入れてしまうのもいいでしょう。
映画が大好きな私は、その日の昼ごろに19時の回のチケットをオンラインで予約します。そうして、必ずその時間に間に合うように仕事を終わらせます。というか、「何がなんでも終わらせる」というモードにするのです。
(5)飲酒量はほどほどに
昨年に続いて今年も大規模な忘年会をおこなう会社は少ないようです。それでも、年末のこの時期は飲み会の機会がどうしても増えがちです。
ほどほどの量なら、翌日の仕事に影響を及ぼすことは少ないのですが、深酒や連日の飲酒となると、翌日の仕事に差し支えます。睡眠時間が減り、疲労も溜まって、仕事のパフォーマンスは大きく下がってしまうのです。
師走の時期は、通常の月より仕事のパフォーマンスを高めなければいけません。だから、気の進まない飲み会は断わる、飲み会は一次会で帰る、あるいは、飲酒量をほどほどにするなどの、マイルールを決めて、仕事に支障をきたさないようにしたいものです。
今回挙げた5つの方法は、どれも簡単にできることです。しかし、実際にやってみればわかりますが、その効果は絶大です。
これらの方法を上手に活用し、山のような仕事を、楽しみながら流れるように片づけてください。師走に限らず、ふだんの仕事でも実践してみると、仕事に対する意識や考え方が劇的に変わるでしょう。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし