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藤井聡太竜王「19歳で五冠制覇」次の注目点は…いまだ未経験「3連敗」する日はいつか来る?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.19 09:00 最終更新日:2022.02.19 13:18
いったい、どこまで勝ち進むのか? 2021年度もまた、藤井聡太(19)は信じられないような活躍を見せた。
藤井は棋聖、王位を防衛したあと、叡王、竜王、王将を獲得。二冠から五冠へジャンプアップした。10代でのタイトル獲得が異例中の異例である将棋界において、19歳での五冠など、もちろん過去に例がない。空前にして、おそらくは絶後の大記録となるだろう。
藤井は今年度ここまで63局指して51勝12敗(勝率0.810)。前年度から19連勝を達成している。2月18日現在、対局数、勝数、連勝は1位。勝率は規定対局数を満たしている棋士の中では2位で、2017年度以来の4部門独占の可能性も残している。
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将棋界において、年度勝率8割以上はとんでもない好記録だ。「将棋史上最強」と呼ばれる羽生善治九段(51歳)はそれを3回記録している。もし藤井が今年度も8割を超えれば、なんと5年連続となる。
藤井のプロ入り以来の通算成績は264勝52敗(勝率0.835)。将棋史上最高記録の29連勝達成という鮮烈すぎるデビューを飾って以来、ほぼ6回に5回は勝っていることになる。
それだけ強いと、ごくたまに連敗すると目立つ。藤井は今年度、2回連敗した。
9月14日 ●渡辺明名人(銀河戦準決勝)
9月17日 ●斎藤慎太郎八段(棋王戦3回戦)
11月21日 ●豊島将之九段(日本シリーズ決勝)
11月24日 ●永瀬拓矢王座(王将戦リーグ最終局)
相手は、いずれも強敵だ。藤井は今年度、銀河戦と日本シリーズは優勝を逃し、棋王戦では挑戦権獲得に至らなかった。藤井もまた人の子。ときには連敗もするだろう……。
そこで、白黒の星取りを詳細に眺めてみれば、藤井はデビュー以来、7回ほど連敗していることがわかる。ただし、驚くことに、藤井は3連敗したことがない。熱心な将棋ファンには周知の記録ではあるが、これもまた異例中の異例だ。
羽生はどうか。羽生の通算成績は1495勝648敗(勝率0.698)。その長いキャリアの中で、2回ほど6連敗を喫している。わずかにそれだけ、と解釈すべきだろう。
羽生はフルシーズン参戦1年目の1986年度には40勝14敗(勝率0.741)という好成績をあげ、勝率1位を記録した。その間には3連敗もある。
藤井が3連敗を喫する日は、いつやってくるのか。来期2022年度以降、その点もまた隠れた注目ポイントといえそうだ。
ちなみにデビュー前、少年時の藤井はどうだったのか。小1の終わりから小4まで所属した東海研修会では、5連敗がもっとも長い連敗記録だった。当時は負ければよく泣く少年として有名だった。
関西奨励会では小5で3級のとき、6連敗を喫している。大阪に遠征していた藤井少年は、関西将棋会館を出た瞬間に、大泣きを始めたという。
藤井が現在戦っている相手は、当時よりも格段に強い。それなのにいまだ2連敗しかしていないことこそ、藤井の強さの証なのだ。
文・松本博文
( SmartFLASH )