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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」ゼレンスキー大統領に学ぶ「追いつめられたとき」4つの対処法…まずは人の手を借りよう!
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.11 06:00 最終更新日:2022.04.11 08:58
■(3)最初から無理とあきらめない
ロシア軍が圧倒的な戦力でウクライナに乗り込んできた直後、日本の著名人から「犠牲者が増えないうちにウクライナは早く降伏すべき」という意見が出たのには驚きました。
ウクライナが降伏するということは、事実上、国家が消滅するということです。このように、何もしないうちから「無理」とあきらめる人が非常に多くいます。だからこうした論調が出るのでしょう。
チャレンジしなければ成功率は確実に0%、チャレンジすれば0%よりは増えます。無理とあきらめる前に、できることをしっかりとおこなうことによって、現実は変わります。
実際、ゼレンスキー大統領は、「絶対にあきらめない」ということを演説の中で何度も何度も繰り返して伝えています。彼が弱気の姿勢を見せていたら、国民は徹底抗戦していたでしょうか。世界各国もここまでウクライナ支援にまわったでしょうか。
最初から無理とあきらめている人を応援してくれる人はいません。あきらめずに粘り強く必死に食らいついて頑張っている人を、応援したくなるのが人情です。
人は窮地に追い込まれたときに、自分の力で「できる」か「できない」かの二択で判断するのですが、「できない」場合でも、まわりの支援や応援が得られれば、不可能も可能になるのです。
フェドロフ副首相は自身のツイッターで、米テスラのイーロン・マスク氏にあて、高速衛星通信システム「スターリンク」をウクライナに提供してほしい、とツイートしました。
マスク氏は数時間後には協力に応じ、実際に回線を使えるようにしたのです。ツイッターで投稿するのに何分もかからないし、仮に拒否されても失うものはありません。だから、やらないと損なのです。
最初から無理とあきらめないで、「とりあえずやってみる」ことで、現実は変わるのです。
■(4)できることは全部やる
できることを全部やると最高の結果が得られます。これを私は「全部戦略」と呼んでいます。
現実社会においては、何か失敗したり、追いつめられたりすると、多くの人は頭がパニクって、できることが10個あったとしても、そのうちの2~3個で手一杯になってしまいがちです。あるいは「もっとひどいことになったらどうしよう」と、勝手に自分で不安を増幅させて、挙げ句に思考停止、行動停止の状態に陥ってしまいます。
しかし、そういうときこそ、やるべきことを一つ一つ淡々と実行していくしか打開策はないのです。
ウクライナは、次から次へと策を考え、すぐさま実行に移しています。一つ一つの効果は小さいものかもしれません。しかし結果的に、それらが掛け合わされて、軍事力の差を埋めるという、大きな効果を発揮しているのです。
ゼレンスキー大統領の戦略は、一国の長として非常に斬新で新しいものに見えますが、以上のように分析すると、「やるべきこと」を淡々とこなしていることがわかります。
あなたも、追いつめられた状態に陥った場合、「人の力を借りる」「チームで乗り切る」「最初から無理とあきらめない」「できることは全部やる」などの対処法で、現状を打開する扉が開けます。
特に重要なのは、「自分一人でどうにもならなければ、他人の力を借りる」ということ。これだけは肝に銘じておいてください。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし