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フジテレビ、大リストラなのに利益倍増…コロナ禍で大儲けしたテレビ局のカラクリ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.05.13 18:40 最終更新日:2022.05.13 18:46
フジテレビ局内に衝撃が走ったのは、2021年11月のことだった。
「フジテレビは、取締役会で『ネクストキャリア支援希望退職制度』の実施を決議。要するに、大規模な希望退職者を募ったのです。対象は、満50歳以上かつ勤続10年以上の社員でした。
高給の社員に退職してもらい、社内の若返りを図るのが目的だったのかもしれませんが、結果的に優秀な社員が大量に流出する事態になりました。
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それだけでなく、30~40代からも退職したいという声が聞かれているといいます。それもそのはず、退職時に、退職金とは別に支払われる “特別優遇加算金” は1人あたり1億円とも報じられていますから……」(芸能関係者)
2021年3月期決算で、フジ・メディア・ホールディングスの経常損益は222億9500万円にとどまった。前期比36%の減収で、これでは大規模なリストラをおこない、人件費削減に動いても不思議ではないが――。ことはそう単純ではないと、この関係者が続ける。
「5月12日に発表された2022年3月期決算を見ると、事情が大きく違ってきたのがわかります。
経常損益は455億3400万円。これはなんと、前期比104.2%増という数字で、つまり前期の倍以上の利益を叩き出したわけです。これだけ儲かっていれば、1人1億円という莫大な “特別優遇加算金” だって問題なく払えるでしょう」(同前)
実は、フジテレビだけでなく、すべてのキー局の利益が爆発的に増えている。2022年3月期の経常損益は、
・テレビ東京ホールディングス:71.5%増の91億5900万円
・テレビ朝日ホールディングス:47.1%増の264億4300万円
・TBSホールディングス:59.7%増の307億700万円
・日本テレビホールディングス:51.0%増の648億3800万円
となっている。
「テレビはオワコン」と言われて久しい昨今、なぜこれほどまでに増益となったのか。その背景について、コンサルティング会社社長の村上茂久氏が解説する。
「今回の大増益の要因をひと言で言うと、『スポット広告の回復』です。これは各局とも同じです。
テレビ広告は、大きく分けてタイム広告とスポット広告の2種類あるんです。以前、『サザエさん』は東芝が単独スポンサーでした。これはタイム広告といって、特定の番組を指定してCMを流します。
一方、スポット広告は番組を指定せず、時間枠を指定するものです。最小15秒から時間枠を購入でき、キャンペーンに合わせてCM出稿できます。
テレビ業界では、このスポットCMが売上の源泉です。コロナ禍が始まって最初の決算だった2021年3月期は、スポット広告が激減しました。しかし、2022年3月期は、東京五輪の影響もあってスポット広告が大復調したのです。
逆に言えば、広告主が広告出稿を再開できるようになったということ。コロナ禍での業務体系がある程度整備され、広告をもう一度出すだけの力が企業に戻ってきたわけです。それが、結果的にテレビ業界の復活につながった。今後もこの傾向は続くでしょう」
ウハウハとなったテレビ業界だが、先の芸能関係者はこんな指摘をする。
「コロナ禍で、各局とも番組制作費を大幅に削減しました。経費削減がこのまま続けば、テレビマンたちが作りたい番組が作れなくなってしまう。増益したのに制作費がこのままだったら本末転倒です。今回の大増益を機に、制作費も見直されるといいのですが……」
テレビ局とテレビマンたちが “本気” で作った番組を、もう一度見てみたい。
( SmartFLASH )