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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』シン・ウルトラマンに学ぶ「シン・仕事術」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.13 06:00 最終更新日:2022.06.13 06:00

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』シン・ウルトラマンに学ぶ「シン・仕事術」

 

 前回の連載でもふれた山口県阿武町の4630万円の誤送金問題は、決済代行業者がそのうちの約4299万円を返金するという意外な展開となりました。警察の強制捜査を恐れた業者側が、容疑者が返すべきお金を肩代わりしたのではないかと、推測されています。

 

 前回は、この誤送金問題に関連して、「ギャンブル依存症」についてお伝えしましたが、今回は誤送金した側について考えてみます。

 

 

 新型コロナ対策の臨時特別給付金として住民税非課税の世帯などにおこなわれた、一律10万円の支給。そのうちの一世帯に463世帯分に相当する4630万円もの大金が振り込まれることになった……。あきらかに異常なことなので、ふつう気がつきそうなものですが、なぜかそれができなかった。あるいは、気がついたとしても異議をはさむことなくそのままスルーしてしまった。

 

「自分だったら、そんなことはありえない」と言う人も多いと思いますが、私はそうは考えません。というのも、仕事のやり方によっては、同じようなミスを誰でも犯しかねないからです。

 

 インプット仕事とアウトプット仕事については、過去の連載でもお伝えしましたが、非常に重要なことなので、あらためて説明します。

 

 世の中の仕事はインプット仕事とアウトプット仕事に大別できます。インプット仕事とは、上司に言われたことを、言われたとおりにやる仕事のやり方です。一方、アウトプット仕事とは、上司に言われたことをやるだけではなく、自分なりにアイデアをつけ加えたり、改善を提案するなどして、より高いクオリティに仕上げていく、という仕事のやり方です。

 

 ひと言でいえば、インプット仕事は受動的であり、アウトプット仕事は能動的で自発的。自ら動き、自分の頭で考え、自分で判断するクリエイティブな仕事のやり方がアウトプット仕事です。

 

 そして、今回の誤送金問題は、インプット仕事でおこなわれた結果ではないかと考えます。これは個人の仕事のやり方というよりも、上意下達が厳密で現場の担当者は異議をはさみにくい「お役所体質」ゆえの問題といえるかもしれません。

 

 あなたは、上司に指示された仕事について、その意味や目的などを自分なりに考え、吟味し、咀嚼して行動に移していますか? もし、言われたことを言われたとおりにしかやらないインプット仕事が日常になっているとしたら、将来、とんでもなく大きなミスをしでかすかもしれません。

 

■「相談しづらい職場」でトラブルは発生する

 

 職種などによってインプット仕事にならざるをえない職場でも、上司に言われたことについて「これはおかしい」と思った場合、すぐに上司に相談できる環境ならば、トラブルを未然に防ぐことができるか、被害を最小限に食い止めることができます。昔から仕事は「報連相(ほうれんそう)」(報告・連絡・相談)が重要、といわれています。しかし、実際は上司に報連相しづらい雰囲気の職場が多いのもたしかです。

 

 コロナ禍におけるテレワークの増加や生活、外出の制限などによるストレスの増加もあり、精神科の患者数が爆発的に増えているといいます。私が管理職の方から聞いた話ですが、昨日までテレワークでふつうに会議に参加していた人が、突然「うつ病と診断されたので、明日から1カ月休ませてください」と言ってくるそうです。おそらく、何週間も前から調子が悪かったはずですが、それをまったく上司に報告も相談もしない。事前に相談があれば、仕事の負担を減らしたり担当替えをしたりなどの対応によって「うつ病」にまで悪化させるのを防げたかもしれないのです。

 

 しかし、「なんの相談もなかった」というのは、視点を変えれば、その管理職の方の職場が、相談しづらい雰囲気である可能性があります。

 

 部下が上司に何か報告しようとしたときに、「忙しいから後にして!」と取り合ってもらえない。何か相談したときに、「そんなこと自分で考えろ!」と一蹴される。そんな経験が何度か続けば、部下は「報告や相談をしよう」という気持ちが失せてしまいます。

 

 報告や相談をしやすい職場でないと、大事に至るまで部下は何も言ってこない。もしあなたが管理職だとしたら、あなたの職場は大丈夫ですか? 部下はあなたに気軽に相談をしてくれますか?

 

( 週刊FLASH 2022年6月21日号 )

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