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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』科学的データに基づく「3つの新型コロナ対策」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.08.15 06:00 最終更新日:2022.08.15 06:00
■(3)ビタミンDの補充
免疫力に強く関連した栄養素にビタミンDがあります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする物質です。
ビタミンDは、非常に欠乏しやすい栄養素として知られ、日本人の4割がビタミンD不足、4割がビタミンD欠乏といわれます(欠乏とは、不足がさらに進んだ状態)。つまり、8割の日本人はビタミンDが足りていないのです。これが足りていないと、骨粗鬆症が進み、骨折しやすくなります。そして、免疫力が低下してしまうのです。
コロナの入院患者、特に重症患者に、ビタミンD欠乏症が多く見られるという報告は多数なされています。
27件のメタアナリシス(複数の研究結果を統合して解析すること)によると、ビタミンDの欠乏により、新型コロナの感染リスクは26~171%、入院リスクは81~117%、重症化リスクは90~160%、死亡リスクは22~208%高まる、と報告されています(※5)。
また、ビタミンDの補充療法で、重症患者の病状が改善したという報告もあります。
ビタミンDは、キノコ類(キクラゲ、シイタケなど)、魚類(イワシ、サンマ、サケなど)、卵などに含まれますが、食事だけで一日に必要な分を摂取しようとすると、これらの食物をかなりの量食べなければなりません。
ただ、人間の体は非常に優れた機能を持っていて、ビタミンDの必要量の半分は自分で生成することができます。その原料は「紫外線」。皮膚に日光(紫外線)が当たると、ビタミンDが生成されるのです。夏場ですと15分ほど、太陽の光を浴びながら散歩をすれば、かなりの量のビタミンDが生成されます。
以前より当連載でも朝散歩をおすすめしていますが、一日15分程度の朝散歩でビタミンDをしっかりと補充できます。つまり、朝散歩によってコロナ感染予防の効果が大いに期待できるのです。
当連載では折にふれて、「睡眠」「運動」「朝散歩」という3つの健康習慣を推奨してきました。これらは「メンタルに効く」だけではなく「生活習慣病の予防」にもなり、ひいては「新型コロナの感染率、重症化率、死亡率を大きく減らす」ことができるのです。今日から、この3つの習慣を生活に取り入れてみてください。
【参考資料】
(※1)COVID-19 illness in relation to sleep and burnout. BMJ Nutr Prev Health, 2021.
(※2)https://c19early.com/slmeta.html
(※3)Physical inactivity is associated with
a higher risk for severe COVID-19 outcomes:
a study in 48 440 adult patients.
British Journal of Sports Medicine, 2021.
(※4)Physical activity and the risk of
SARS-CoV-2 infection, severe COVID-19 illness and COVID-19 related mortality in South Korea:
a nationwide cohort study. British Journal of Sports Medicine, 2021.
(※5)Obesity, Hypovitaminosis D, and COVID-19: the Bermuda Triangle in Public Health. Metabolism, 2022.
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし