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“射精道”=武士道 元気の指標は「朝勃ち」「ビュッと飛ばす」専門医が説く“男の刀”の正しいコントロール法

ライフ・マネー 投稿日:2022.10.03 21:01FLASH編集部

“射精道”=武士道 元気の指標は「朝勃ち」「ビュッと飛ばす」専門医が説く“男の刀”の正しいコントロール法

今井伸著『射精道』(光文社新書)

 

 昨今、芸能界やスポーツ界で、男性による女性への性暴力事件や望まない妊娠によるトラブルが後を絶たない。

 

 この事態は、男性が自身にとってもっとも重要な部分の扱い方を正しく理解していないことがもたらしたものだと、警鐘を鳴らす専門医がいる。生殖医療に携わる、聖隷浜松病院(静岡県浜松市)リプロダクションセンター長の今井伸氏だ。

 

 

「男性は誰もがペニスを携えているにもかかわらず、その正しい使い方や、使うにあたっての道徳観や品格を身につけていません。その結果が、現在の性犯罪や醜聞の横行です。性のルールをわきまえない“美しくない男性”が増えていることへの危機感から、男性器の知識とそれを持つ者の心得をまとめた本を書きました」

 

 著書の名は『射精道』(光文社新書)。なんとも厳かなタイトルだ。

 

「かつての日本には『武士道』の精神が存在し、刀を持つ武士には高い倫理観が求められました。刀は凶器であり、使い方を誤ると大惨事をもたらすからです。したがって武士道は、武士に間違いを起こさせないための行動規範といえます。

 

 武士と刀の関係は、そのまま男性とペニスの関係に置き換えられると、私は考えています。ペニスは構造的に相手の体内に押し入られるものであり、望まない相手にとっては加害の道具となることは刀と同じです。だから、男性もペニスを凶器としないために、武士と同様の倫理観や、相手を思いやる礼儀を身につけていなければならないと思います。こうした男性に求められる精神を『射精道』と名づけました。

 

 武士道が日本から失われたように、射精道も今の男性には欠けていると感じます。そして、その責任は『性教育』にあると私は考えています。日本の性教育の内容は、月経や避妊方法など女性に関する知識に偏っていて、男性の射精についてはあまりふれられていないのです。私は中高生の性教育にも携わっているため、それを現場で目の当たりにしていますし、とくに男子学生の“心の育成”が十分になされないため、彼らの多くは正しいセックスの知識を得られていません」

 

 具体的に何を教えられていないのか。

 

「オナニーのやり方です。『勝手に覚えるだろ』とほったらかしにされているのです。そのため、自己流の間違ったオナニーを覚えたために、射精障害になる患者が多発しています。実際、私のところには多くの射精障害の患者さんが訪れ、『正しい知識があれば避けられたのに』と感じることがしばしばあります。

 

 正しいオナニーとは、簡単にいうと『快感』と『コントロール』の2要素から成ります。『快感』とは、“ビュッ”と遠くに精液を飛ばす射精によって得られます。そのためには、すぐに精液を出さずにある程度我慢することが必要です。そして、勃起したペニスは軽く握り、亀頭部を刺激するようにしごきます。“床オナ”は腟内射精障害の最大の原因ですので直ちにやめましょう。

 

 それらの点を守らず誤った習慣を身につけてしまうと、我慢しないため勢いのない射精となる早漏や、刺激が強くないと射精しない遅漏、膣内射精障害に陥ったりします。もちろん、そうした機能障害に限らず、適切な射精ができないと性欲が解消されず、欲求不満がたまってよからぬ考えが浮かびかねないのです」

 

 性欲のコントロールは、性をめぐるトラブルを防ぐために重要だ。ただ、多くの人にとって、問題行動までには至らなくとも、性欲をどのように解消するかは悩ましい問題なのである。

 

「たしかに、あの森鴎外も著書『ヰタ・セクスアリス』のなかで、『自分は性欲の虎を馴らして抑えている』と、主人公に悩みを語らせています。私自身も思春期以降、“性欲の虎”を飼いならすことの難しさを痛感し、また性の悩みで困っている人の役に立ちたいとの思いから当初の外科医志望を変えて泌尿器科を専門にしました。

 

 基本的に性欲は、自分のペースで可能なやり方で解消するのがいいでしょう。そのときに重要なのは、まず人に迷惑をかけないようにするということ。パートナーがいるならば、自分の都合ではなく相手と一緒にセックスを楽しむという姿勢が重要です。もし相手にその気持ちがないならば、話し合って平和的に解決するのがひとつ。相手が痛いというのであれば、挿入にこだわってはいけません。

 

 相手がどうしてもセックスをやりたくない、あるいはパートナーがいない場合は、自分一人で楽しめばよいのです。最近はオナニーをセルフプレジャーとも言いますが、文字どおり楽しみながらやることが大切です。中高年以上の人は、わりとオナニーに抵抗がある人が多いのですが、頭を切り替えてもらいたい。セルフプレジャーグッズや動画を活用するなどして、純粋に射精を楽しんでください。

 

 相手がいないのにどうしてもセックスしたいという衝動に駆られ、社会的に危険な考えが浮かんだ人には『一発抜きなさい』と伝えたい。『一発抜くことでとりあえず冷静になり、それからまたどうするか考えなさい』と。凡庸な言い方かもしれませんが、やっぱり“賢者タイム”を活用してやり過ごすしかありません。

 

 あとは、人と比べないこと。自分のペースで好きなように一人でもよし、相手と一緒でもよし、フレキシブルに性を楽しみましょう。結婚しているからといって、自分と相手の性のペースや好みが合致しているとは限らないし、中高年になるとさらにギャップが出てくる可能性がある。そうなると、相手に頼らない性欲の満たし方を自分で見つけておいたほうがよいでしょう」

 

 性欲や性機能はいつまで活発なのか?

 

「やはり、人それぞれですね。男性は条件が整っていれば、80代でも勃起はするし射精もできます。そして、射精ができるかできないかと、精子がいるかどうかは別の問題です。女性は閉経で排卵しなくなりますが、閉経後もセックスはできます。

 

 女性に比べて男性は、ホルモンが緩やかに下降していくため変化はゆっくりで、中高年では男性のほうが性欲の強い人が多い。男性の性能力と性反応のピークは17歳~18歳とされていて、それ以降は徐々に衰退していきます。40代からはいつどんな症状が表われてもおかしくないといえます。

 

 男性の場合、性機能が衰えることに抵抗感がある人が多く、それは昔元気だった人ほど顕著です。つまり、過去の栄光にすがりたがります。できもしないことをやろうとして失敗し、性欲と性機能のギャップに苦しみます。やっぱり勃起の固さは弱くなってくるし、10代や20代と同じことはできないという現実を客観的に受け入れなければなりません」

 

 男性にとって「自分のあそこが元気か」は、つねに気になるところ。“健康”の指標はあるのだろうか?

 

「“朝勃ち”ですね。朝勃ちがあるということは勃起機能も、ホルモンもわりと満たされていると考えられます。やっぱり朝勃ちがいちばん確認しやすいバロメーターです。

 

 そして、正しいオナニーのやり方としてもふれましたが、精液がビュっと遠くに飛ぶような射精ができることもわかりやすい指標です。そのように勢いのある射精のためには、固い勃起が欠かせません。勃起には陰茎海綿体が関係し、その根元の部分は骨盤底筋のなかに埋まっています。

 

 骨盤底筋とは、恥骨と肛門の間にある体幹の底をネットのように支えている筋肉です。勃起時に肛門をギュッと締めるようにお尻に力を入れると、ペニスがグイッと動くように、これは陰茎海綿体を骨盤底筋が支えているためです。したがって、骨盤底筋が衰えると勃起も弱くなり、射精もちょろっと漏れるようなものになったりします。

 

 勃起が弱くなってきたなと思ったら、下半身を鍛えましょう。何も筋骨隆々になる必要はありません。下半身の運動ならなんでもよく、ウォーキングをするだけでも筋力は維持できます。私も、勃起の角度が落ちてきたと感じた4~5年前から朝のジョギングを始めたところ、骨盤底筋が自然に鍛えられ、勃起力が回復しました。

 

『骨盤底筋体操』もおすすめです。肛門をギュッと引き締めるようにお尻に力を入れるだけです。歩いているときや電車やバスに乗っているとき、歯磨きをしているときなど気がついたときにこまめにやれば効果的です」

 

「射精道」はペニスを持つ男性の行動規範であるが、男性のためだけのものではなく、女性にも必要な知識であり、女性がセックスに対してより主体的に関わるための「オルガズム道」でもあると、今井氏は言う。国際比較によると、日本の女性は性生活への満足度が低く、それは女性のマスターベーションの経験率の低さに起因すると同氏は分析する。そして、女性が自らの性感帯をきちんと把握し、セックスからより多くの快楽を得るために、女性に対しても積極的にマスターベーションをおこなうことを推奨している。

( SmartFLASH )

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