■(4)自分の価値観で生きる
世の中、人の顔色を気にする人が多すぎます。人が何を考えているか、人からどう見られているか、他人の評価が気になってしょうがない。それを基準に人生の重要な決断をしてしまうと、後から大きく後悔をすることになるでしょう。
「人の価値観」と「自分の価値観」は異なります。人の価値観は「真にあなたが進みたい道」とは限りません。
人の価値観に合わせて生きるのではなく、自分の価値観で生きる。自分のやりたいことをやりきって生きてこそ、真の幸福をつかむことができるのです。
中年世代、とくに50代以上は家族についても、仕事についても、ある程度先がみえている年代。だからこそ、自分が本当にやりたかったことにチャレンジする、絶好のチャンスなのです。
「1週間休みを取って、○○をします」というチャレンジ宣言は、「人の顔色を気にする生き方」から「自分の意志で生きる生き方」に切り替える、格好のトレーニングです。これまで「上司や部下に気をつかいながら我慢や妥協を重ねてきた」と感じているのなら、すぐに価値観の転換にチャレンジしてください。
■(5)チャレンジを宣言する
「よし、チャレンジするぞ!」と決心したとしても、多くの人は、失敗や後に引けなくなることを恐れて、こっそり実行しようとします。
たとえば、禁煙を宣言しても、1週間で挫折すると「偉そうなことを言って、たった1週間しか続かなかったじゃないか」と言われるのを恐れ、人知れず始める。
しかし、これでは長続きしないのも無理はありません。
最初から目標を小さく立てることも重要ですが、その一方で、宣言することも劣らず大切です。とくに禁煙やダイエットなどは、宣言することで「監視効果」も加わり、成功率が高まるので、なおさらです。
私は今回の自転車旅行に限らず、何かにチャレンジする場合は、SNSやYouTubeチャンネル、メルマガでそのことを宣言します。すると、「頑張ってください」「応援しています」という、ポジティブな反応がじつにたくさん返ってきます。
私は自転車旅行の最中、ほぼ毎日YouTubeライブをおこない、「樺沢さん、頑張ってください!」「樺沢さん、すごいですね!」といった応援コメントをチャット欄にたくさんいただきました。これにはじつに勇気づけられました。これはチャレンジを宣言しなければ、絶対に起こりえないことです。
ほとんどの人がチャレンジを「たった一人」でおこないます。しかし、それは始める前から失敗や挫折を確定させているのと同じこと。
チャレンジを宣言するからこそ、応援、励まし、共感が得られ、あなたのチャレンジを大きく後押ししてくれる人が出てきて、成功率が大きくアップするのです。
チャレンジの宣言には恥ずかしさや不安を感じるかもしれませんが、実際にやってみるとメリットだらけです。
「中年になってからのチャレンジは無理……」。いえ、絶対にそんなことはありません。私でもできました。
今回のお話で、メリットがたくさんあることを理解いただけましたか? あなたも心に温めていることがあるのなら、そろそろ実行してみてはいかがでしょう。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし