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大阪には魚が丸のままで大量に!地元民に愛される「奇跡のスーパー」&「伝説の逸品」<近畿編>

ライフ・マネー 投稿日:2022.12.10 06:00FLASH編集部

大阪には魚が丸のままで大量に!地元民に愛される「奇跡のスーパー」&「伝説の逸品」<近畿編>

たこ一 八尾店(大阪府・八尾市)

 

 全国旅行支援が年明けから再始動へ。最新トレンドは土産店より「旅先スーパー」!山奥の個人店から “県民御用達” ローカルチェーンまで、スーパーマーケット研究家の菅原佳己さんに近畿の名店を聞いた。

 

●<主婦の店尾鷲(おわせ)/三重県・尾鷲市>

 

 1958年開店。今は交通の便がよくなった尾鷲だが、かつては「陸の孤島」と呼ばれたため、食文化は独特。7店舗を構える同店で、地元民が毎年待ち望む季節の味・さんまの丸干しは、はらわた入りだ。美味しさの基準は “かんぴんたん(干からびたの意)” 。わさびが入手困難だったため、さんま寿司の薬味は練り辛子。一方で、地元の港で水揚げされた魚が毎朝届く、食の楽園でもある。

 

 

●<アル・プラザ長浜/滋賀県・長浜市>

 

 彦根市で1957年に創業した平和堂。琵琶湖を囲むように店を増やし、近畿、東海、北陸に156店舗を擁する。そんな平和堂が展開する大型店が、アル・プラザだ。まずは、刻みたくあんを挟んだサラダパン(つるやパン)で景気づけ。同メーカーのレアなサンドウィッチにも出会える。鮒の発酵食の鮒寿司や、琵琶湖一小さな魚の佃煮、うろり煮などの郷土食もぜひ。

 

●<たこ一 八尾店/大阪府・八尾市>

 

 大阪府内に7店舗。魚の激安チェーンとして知られ、イカナゴの売り上げは大阪一。兵庫産や瀬戸内海産など、旬の魚が丸のままで大量に並ぶ。野菜も豊富で安く、八尾店では、春は八尾若ごぼう、夏は紅ずいきなど地ものが集まる。八尾市産の “完全味つけ喰べてびっくり” と冠する旭ポンズ(旭食品)は、たらちり、ふぐちりに合う。月1回のまぐろ解体ショーの日は一層お得だ。

 

●<フレンドフーズ下鴨店/京都府・京都市>

 

◎錦市場の老舗の味を絶やさずにーー

 

 本物にこだわる京都人の舌と感性を満足させているスーパー。日本中の美味しいもののなかから、信頼できる食品を探し出し、販売している。

 

 特に京都には、同社の理念にかなう食品が多い。おだしのパックじん(うね乃)、聖護院かぶら千枚漬け(京漬物司・林慎太郎商店)、料亭の柚子ぽん酢、料亭の胡麻だれ(ともに下鴨茶寮)などが並ぶ。PBの鶏と豚の基本スープは、同店の惣菜部門でも使われている商品だ。

 

 さらに同社は、2019年に惜しまれつつ廃業した錦市場の老舗・井上佃煮店の事業を継承。今、佃煮店の店主と娘さんはフレンドフーズの店内で、ちりめん山椒など京の味を作り続けている。

 

●<スーパー玉出(たまで) 恵美須店/大阪府・大阪市>

 

 西成区玉出発祥で38店舗を展開する、ド派手な看板とネオンで有名な激安店。昔、阪急百貨店がソースでライスを食べる “ソーライ” を供したが、恵美須店では今もうなぎたれご飯、天丼たれご飯、焼肉たれご飯を149円で提供。おかずは定番の紅生姜の天ぷらを。ソースがお好み焼き、焼きそば、とんかつなど、用途別にずらり勢揃い。

 

●<いかり芦屋店/兵庫県・芦屋市>

 

 京阪神の高品質スーパーの代表格。直輸入商品や自社工場製造の料理、洋菓子の評価が高い。看板のいかり特製ローストビーフに、その名もローストビーフによく合うホースラディッシュ入りポテトサラダをつけ合わせ、自社製造のたまねぎドレッシングをかけたら、いかり直輸入ワインを開けよう。京阪神で25店舗展開し、芦屋店は昨年リニューアルした。

 

●<ビッグナラ本店/奈良県・奈良市>

 

 人気のエリア・ならまちにあり、和風の外観がユニーク。店内は季節の地場野菜(一部は大和野菜ブランド)が鮮やか。手延べそうめんの名産地・三輪の緒環伝説(マル勝高田商店)は高級感ある極細麺で、自家製の干し椎茸の煮物や高野豆腐の煮物と合いそうだ。あんた百まで田舎とわしゃ九十九まで砂糖(ともに「まつばや」)はおかきの定番だ。

 

●<松源 元寺店/和歌山県・和歌山市>

 

 和歌山市で創業し、和歌山と大阪を中心に44店舗。ホイップクリームとあんこが入った松源あんぱんなど、オリジナル商品が多い。和歌山中華そばの名店・井出商店のチルドラーメン(アイランド食品)は全国で買えるが、ここでは紀州名物の早すし(紀の川壽司本舗)も。専門店では、ラーメンを待つ間、ひと口大のさばずしをつまんで待つのが地元流なのだ。

 

 菅原さんの研究家への道を開いたのは、「せみ餃子」との出会いだーー。(以下、菅原さん)

 

 きっかけは約30年前。夫の転勤で、東京を離れて暮らした愛知で見た光景でした。

 

 後にこれこそが “ご当地感” だとわかったのですが、関東人好みの醤油せんべいは1種類のみ、あとは通路一列、全面がえびせんべいだったのです。

 

 同じころ、旅先で手にした「せみ餃子」。関西人なら誰もが知る商品でも、当時「せみ」の由来は知られていませんでした。

 

 そこで京都のメーカーに問い合わせてみると「うちー、珉珉(みんみん)食品いいますねん」。このときの「こんなおもしろい話、みんなに教えなきゃ!」という思いが、 “スーパーマーケット研究家” となるきっかけでした。

 

 現在までに、47都道府県、800店以上のスーパーを訪ねました。そして新聞や雑誌、テレビなどを通して、全国のスーパーや、そこで買える地元食の魅力を発信しています。

 

 財布の紐が堅くなる昨今ですが、各店の弁当、惣菜のレベルアップはすさまじく、「スーパーの惣菜でごめんね」の時代から、今では「あのスーパーの○○が食べたい」と、その地域の押しも押されもせぬ名物になっています。

 

 私のように、わざわざ遠くのスーパーを訪れるファンは少なくありません。

 

 たとえば、スズキヤ(神奈川)のお茶漬けも楽しめる「鮭と彩り野菜の茶々のり弁」や、主婦の店さいち(宮城)の、毎日、町の人口を上回る数が売れる「おはぎ」。そんな名物を手にしたときの喜びは、地元の人以上かも。

 

菅原佳己
スーパーマーケット研究家。執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。日常食を発掘し、魅力を伝えている。「朝日新聞」の『be』(土曜別刷り)で「お宝発見 ご当地食」を連載中。新刊に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)

 

※今回紹介するご当地商品には、限定品や季節限定品など、現在は店頭にないものも一部含まれます。スーパーの独自商品以外の特定の商品やブランドを紹介する場合、メーカー名を明記しています。価格は取材当時のものです。

 

写真・菅原佳己(一部、スーパー運営会社より提供)

( 週刊FLASH 2022年12月20日号 )

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