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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』森保ジャパンに学ぶ「7つの習慣」

ライフ・マネー 投稿日:2022.12.19 17:00FLASH編集部

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』森保ジャパンに学ぶ「7つの習慣」

応援をする女性サポーター

 

■(4)親切と感謝のサイクルを回す

 

 試合後のインタビューで選手のほとんどは、カタールまで応援に来てくれたサポーター、日本から声援を送ってくれたサポーターに、たくさんの感謝の言葉を述べていました。

 

 人に親切にしたり、人に何かを与えたりすると、自分と相手に「オキシトシン」が分泌されます。そして、人に感謝すると、自分と相手に「エンドルフィン」が分泌されます。

 

 両方とも人を幸せにする幸福物質で、言い換えると強力な「リラックス物質」。つまり、サポーターの応援、そしてそれに対する選手の感謝によって、双方の間にオキシトシンとエンドルフィンのサイクルが起きます。サポーターの熱心な応援によって、選手たちは緊張せずに、リラックスした状態で、本来の実力以上の力を発揮できる、というわけです。応援すると、選手は本来以上の力を発揮できる! は、脳科学的に正しいのです。

 

■(5)一喜一憂せず、切り替える

 

 試合後の選手たちへのインタビューに注目すると、多くが「一喜一憂しない」「切り替える」という2つの言葉を口にしていました。ということは、おそらくは森保監督が、何度も選手たちに語っていた言葉なのでしょう。

 

 じつは私のYouTubeチャンネルでも、「一喜一憂しない」と「(失敗やネガティブ感情は)切り替えよう」は、よく話していることなのです。いうならば「成功法則」といっていいでしょう。

 

 一喜一憂すると感情に振り回されます。勝利に浮かれると、必ず油断が生じ、失敗します。結果を引きずると、失敗のイメージにとらわれて失敗が連鎖します。

 

 その負のスパイラルにおちいらないためにも、勝っても負けても、成功しても失敗しても、一喜一憂しない。すぐに切り替えて、ニュートラル(中立)な気持ちで、次の戦いに臨む。この2つが、本番で力を最大限に発揮するコツなのです。

 

■(6)集中力を維持する

 

 試合を見ていると、集中力が途切れたときに得点が入ることがよくわかります。とくにスペイン戦後半のスペイン側の連続失点は、守備に連動性がなく、集中力を欠いたことによるものでした。それに比べて日本は、最後まで集中力を切らさず堅い守備を続けました。

 

 集中力を維持するーこれがサッカーのすべてであるとともに、仕事についてもいえることだと思います。

 

■(7)最後まであきらめない!

 

 コスタリカに敗北した後のスペイン戦。ここで勝ち点3を得ないと、決勝トーナメントへの進出が確定しない。そんな非常に厳しい状況に追いこまれながらも、監督も選手もサポーターも最後まであきらめなかったからこそ、得られた勝利です。

 

 最後まであきらめない! そのために重要なのは、自分を信じ、仲間を信じ、指導者を信じることです。

 

 世の中のほとんどの人は、失敗が続いたり追いこまれたりすると、「自分はダメだ」と自らを卑下し、「あいつはダメだ」と仲間を非難し、「上司はダメだ」と指導者をディスります。それで結果が出るはずがありません。

 

 互いに信頼し合い、あきらめなければ、最後に何かが起きる! それは、精神論やスピリチュアルの世界の話ではありません。脳科学的にも、追いつめられたときに、あきらめない、そして感謝の気持ちを忘れないことで、ドーパミン、ノルアドレナリン、オキシトシン、エンドルフィンといった、集中力や脳のパフォーマンスを高める物質を総動員できるのです。

 

 あきらめなければ奇跡は起きる! それは、脳科学的にはまったく正しいことなのです。

 

 

かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動

 

イラスト・浜本ひろし

( 週刊FLASH 2022年12月20日号 )

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