■1回射精すれば2回めは長くできる(×)
「これは、個人差があると思います。男性は、性的興奮の後に射精し、オーガズムに達すると不応期という性的刺激に反応しない時間が訪れます。一般的に皆さんが賢者タイムと呼ぶ時間です。
賢者タイムは、20代では15~20分程度といわれ、年齢が上がるにつれて長くなります。少なくとも、1回射精すると2回めは行為に及ぶ準備ができるまで時間を要する方が多くなるとはいえるでしょう」(窪田医師)
■抗うつ薬を飲むとEDになる(△)
「種類によります。たしかに、抗うつ薬・向精神薬のなかには、副作用のひとつとしてEDを起こす薬があります。精神科や心療内科を受診しているEDの方は、医師に薬の副作用を確認することをおすすめします。
具体的に性機能障害を起こし得る抗うつ薬は、三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などがあります」(伊勢呂医師)
■若いときにセックスしすぎると前立腺肥大、EDになる(×)
「少し昔は『女遊びばかりしていると前立腺がんや前立腺肥大症になる』といわれたようですが、これはまったくの都市伝説です。
前立腺肥大症は、自覚症状がない方も含めると50歳以上の男性の半数以上が罹っている病気です。前立腺が肥大すると尿道が圧迫され、尿が出にくくなったり、尿の回数が多くなる頻尿などの排尿障害が出ることもあります。
一般的に、加齢とともに男性ホルモンの低下や生活習慣病などが原因となり血流が低下し、EDになります」(伊勢呂医師)
■個人輸入できるED治療薬には偽物がある(○)
「これには本当に気をつけてください。インターネットで購入できるED治療薬の半分は偽物だと思ったほうがいいでしょう。
ED治療薬を製造・販売している大手製薬会社4社が2016年に調査したところ、個人輸入代行などと謳うネットサイトから購入できた商品の、約4割が偽物のバイアグラだったという結果でした。
バイアグラだけでなく、シアリス錠の偽物も摘発されています。偽物のシアリス錠を服用し、数時間で痙攣、意識低下が生じた例も報告されています。
最近ではジェネリック医薬品も発売されていて、高価なものではありませんので、必ず病院で処方してもらいましょう」(窪田医師)
■大人になっておたふく風邪に罹ると種無しになる(△)
「思春期以降におたふく風邪に罹ると、おたふく風邪の原因であるムンプスウイルスが精巣に炎症を起こし、ムンプス精巣炎になります。
ムンプス精巣炎になると、精子を作る働きが低下し、最悪の場合は無精子症になる可能性があります。
もちろん、100%ではありませんが、思春期を過ぎてもおたふく風邪に罹っていないという人は、ワクチンを接種することをおすすめします」(伊勢呂医師)
■中折れするのはEDじゃない(×)
「行為の最初は勃つけど、途中で萎えてしまう……という男性は多く、40代から増加する傾向にあります。EDと認めたくないという男性も多いですが、中折れもEDです。
そして、中折れが頻繁に起こるようなら、動脈硬化のサインととらえ、生活習慣を見直すことが大事です。
メタボの改善や飲酒、喫煙を控え、運動をするなど、血管の健康を保つことを心がけることで、中折れが改善することもあります」(窪田医師)
■バイアグラを飲むと、物が青く見えるようになる(△)
巷ではバイアグラの錠剤が青いため、飲むと物が青く見えるようになるといわれている。
「実際、バイアグラを服用した後に物が青く見える青視症が起こることはあります。しかし、バイアグラが青いから青く見えるわけではありません。バイアグラによる青視症は一時的なもので、時間の経過とともに改善し、後遺症もありません。
青視症は、白内障など目の疾患が原因となっていることもありますので、症状が長引く場合には、眼科を受診することをおすすめします」(窪田医師)
■スッポンでビンビンになる(○)
「スッポンの肉には、アルギニンと呼ばれる成分が多く含まれています。これはアミノ酸の一種で、体内に吸収されると一酸化窒素の生成を促進します。
一酸化窒素は、血管を拡張させ、陰茎の血流量を増やすため、勃起しやすくなります。
また、男性ホルモン量の上昇に欠かせない亜鉛を含みます。さらにビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEなどが多く含まれ、精力増強に効果があるといわれます」(窪田医師)
■妻にだけ勃たないのはEDじゃない(×)
「長年連れ添った妻や彼女にだけ勃たない、という男性は少なくありません。AVやほかの女性には正常に勃起するためEDではないと思っている男性もいるようですが、これも立派な心因性EDです。
原因は、マンネリ化によって性的刺激を受けにくくなっていることです。
奥さん=興奮しないという固定観念にとらわれている場合もあるので、ED治療薬を服用するのも解決のきっかけになると思います」(窪田医師)
■床オナはEDになる(○)
うつ伏せのまま、陰部を床にこすりつける通称 “床オナ”。愛好者の多い方法だが、注意が必要だ。
「床オナの強い刺激に慣れてしまうと、膣内の締めつけが弱く感じ、膣内射精障害を引き起こしてしまうこともあります。習慣化しているという人は、やめることをおすすめします」(窪田医師)
■包茎だとパートナーががんになる可能性がある(○)
「包茎自体ががんを引き起こすわけではありません。しかし包茎の場合、垢が溜まりやすく不潔になりやすいため、HPVウイルスに感染しやすい傾向にあります。
その結果、女性にHPVウイルスを感染させてしまい、がんになる可能性があるということです。陰茎は清潔に保ちましょう」(伊勢呂医師)
■薄毛は絶倫の証拠だ(×)
「薄毛の原因がテストステロンだと理解されている方が多いと思いますが、厳密には違います。テストステロンは、5α還元酵素という酵素の作用によりDHT(ジヒドロテストステロン)という、別の男性ホルモンに変わります。このDHTが育毛を妨げることで、薄毛になります。
DHTが増える原因には遺伝的要素や喫煙などがあり、必ずしも薄毛=男性ホルモンが多い=絶倫というわけではないのです」(窪田医師)
写真・共同通信 取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)