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運動量の減少、昼夜逆転、尋常でないストレス…日本初 “eスポーツ外来” 専門医が訴える「プロゲーマー」健康問題

ライフ・マネー 投稿日:2023.04.10 17:20FLASH編集部

運動量の減少、昼夜逆転、尋常でないストレス…日本初 “eスポーツ外来” 専門医が訴える「プロゲーマー」健康問題

多くの世界大会が開かれているeスポーツ(写真・アフロ)

 

 この数年で、世界的に急成長を遂げているあるスポーツがある。その名も、eスポーツだ。

 

「eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)の略で、ゲームのなかで対戦をおこなうスポーツ競技です。自動車レースから、銃撃ゲーム、格闘ゲームなど、そのジャンルはさまざまで、将来的にはオリンピック競技になる可能性も高いのです。実際、IOCは、2023年6月、シンガポールで第1回オリンピックeスポーツウイークを開催することを決定しています」(週刊誌記者)

 

 

 eスポーツの競技人口は、世界で約1億人もいる。日本では約390万人の競技人口を誇り、そのなかでプロは308人。世界からはやや出遅れているものの、カードゲーム『シャドウバース』で1億5000万円の賞金を手にしたkakip選手なども登場している。「ゲームで食える」という夢を求め、多くの若者がプロプレイヤーとしてeスポーツの世界に挑戦している。

 

 だが、日本初の “eスポーツ外来” を開設したブレインクリニック院長、今野裕之医師はある重大な点が見過ごされていると語る。

 

「選手の健康問題です。プロゲーマーやそれを志す若者は、ゲームをしている時間が非常に長く、著しく運動量が減少しています。また、世界標準に合わせた時間で練習をするため、昼夜逆転している方も少なくありません。

 

 健康でいられるように医学的なサポートをすることはもちろん、ゲーム競技は、その日の体調によってスコアが大きく変わることもあり、コンディション作りにも医学的なアプローチが必要です。

 

 こうしたサポート体制が日本はまだ未熟なので、その点を支えたいと思い、eスポーツ外来を設立しました」

 

 たとえば、ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』の中国トッププレイヤーとして活躍し、多くのファンを持つUzi選手は、2012年、15歳でキャリアをスタートさせた。しかし、右肩や腕にかけての不調や糖尿病の治療のため、8年で引退を余儀なくされている。

 

 Uzi選手が特殊なわけではない。日本でも同様で、健康面の問題が生じ、引退するプレイヤーが少なくない。ゲーム『レインボーシックス シージ』の元プロプレイヤーで、現在23歳のS氏もその一人だ。

 

「現役時代、試合に勝利しなければというプレッシャー、そしていつ解雇されるかわからない恐怖から来るストレスはかなりのものでした。戦力外通告をうけ、現在は、第一線から退いています。

 

 eスポーツは、選手生命が短く、単に “好きだから” という理由では続けられない厳しい世界です。メンタルケアや食生活など、生活習慣に関してはサポートが必要だと感じます」(S氏)

 

 S氏の現役時代は、1日10時間以上ゲームをするのは日常だった。10時に起床し、14時から昼のチーム練習、17時から19時まで個人練習をし、ふたたび20時から夜のチーム練習。自由になる時間は23時以降だったという。

 

 今野医師は、医学的なサポートをおこなうことによって、パフォーマンスを向上できるという。

 

「私の外来では、医師によるカウンセリングに加え、PCを用いた精密な脳機能チェック、血液・尿検査のデータを用いた栄養バランスの分析、脈のリズムを解析し、自律神経の乱れをチェックするなど、さまざまなアプローチをおこなっています。

 

 私が診察する患者さんのなかでは、とくに鉄分の欠乏などが隠れているケースが少なくありません。認知機能が落ちた人が、栄養指導やサプリメントを用いた指導で改善したケースもあります」

 

 eスポーツの世界でも、昭和の “根性論” から脱却する必要がありそうだ。

( SmartFLASH )

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