ライフ・マネー
いまや高級鑑賞魚! “100万円メダカ” ブリーダーの飽くなき努力が生んだ最高傑作を見よ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.07.14 06:00 最終更新日:2023.07.14 06:00
日本人に古くから親しまれている「メダカ」に異変。ブリーダーや愛好家の参入が相次ぎ、いまやニシキゴイ、キンギョに次ぐ高級観賞魚になっているのだ。ペアで数万円は当たり前、1匹数十万超えも続出している。メダカに何が起きているのか、爆騰の秘密に迫った
子供にとって馴染み深い魚といえば、メダカだろう。学校で童謡を歌ったり、飼育したり、雌雄の見分け方を習ったり。誰もが幾度となく目にしてきたはずだ。ところが最近では観賞魚として高値がつき、メダカの繁殖が副業として人気になるなど、大人にも身近な存在となっている。
【関連記事:遺伝子組み換え「光るメダカ」販売で逮捕…日本初の「カルタヘナ法」違反、量刑はどうなる?】
「メダカは観賞魚としては、まだまだコイやキンギョに劣る存在。 “第三の観賞魚” として定着させたいですね」と語るのは広島県にある「めだかの館」の大場貴保氏。2010年に「100万円メダカ」を売り出し大きな話題となった改良メダカの老舗で、日夜研究を続けている。
「皆さんが『メダカ』と聞いて真っ先に思い浮かべるのは『ヒメダカ』(画像ページ)でしょう。じつは『ヒメダカ』も改良メダカの一種なんです。野生型は通称『クロメダカ』と呼ばれていて、絶滅危惧種に指定されています。改良メダカとの交配も問題になっているので、飼えなくなったからといって、放流することは絶対に避けてくださいね」(大場氏・以下同)
一定の注意は必要だが、飼育自体の難度は低いという。
「コイやキンギョに比べると、コンパクトなスペースですみますし、エアレーションやヒーターも必要ありません。小学校のころに育てていた『ヒメダカ』と同じように育てられます。集合住宅で容易に飼育ができるので、現代のライフスタイルにぴったり。確認されているだけで850種の改良メダカがいるので、きっと推しのコが見つかるはずですよ。寿命は2、3年ほど。餌は市販のもので充分です。うちも独自の配合はせず、市販の配合飼料を使っています」
未経験者でも着手しやすいという側面から、拡大し続けているメダカビジネス。「最近、ネットオークションでペア150万円で落札された品種が出た」とか。高級なメダカはどのようにして生まれるのか。
「重要なポイントが3つあります。1つめは、いままでにない形質を持っていること。100万円メダカ『信長』などが当てはまります。2つめは、既存の形質を極限まで高めること。たとえば『朱赤体色』という形質は、『紅薊リアルロングフィン』のようにオレンジっぽいのですが、赤色に近づけると価値は上がるはずです。
3つめは、メダカの専門誌に取り上げられること。単純にマーケティングの話ですが、認知度を高めることが重要です」
ずばり副業としてメダカビジネスは “金” になる?
「ビジネス目的だと難しいと思います。最近は副業として取り上げられているせいか、参入者が増え続けていて。ネットオークションを見ると、1日に8000件ほど出品されている状況です。つまり供給過多になっちゃっていて……。いま市場規模は右肩上がりですが、いつか落ち着くのだろうなという見立てです。ただ、(めだかの館の)代表がよく言っているように『ただのブームではなく文化に』しっかりと根付かせたいですね」
濡れ手に粟とはいかない。
■ミリオンは当たり前ニシキゴイは億! キンギョは数百万円
定番の人気観賞魚・ニシキゴイやキンギョは相変わらずの人気だ。「ニシキゴイの海外での人気は変わらず高く、愛好家も多いです。コイは柄や個体の健康状態などで価格が大きく異なりますが、ショップでは1匹1000~数十万円で販売されています。ただ品評会で優勝したニシキゴイは億や数千万円で取引されることもあります。キンギョは、ランチュウやリュウキンといった品種は品評会で優勝すると数百万円になるものがありますが、メダカやニシキゴイとは違い、飼育目的で購入する人が多く価格もそこまで高くありません。家で飼えるペットとして人気です」(吉田観賞魚・観賞魚担当者)
■新種も登場!「めだかの館」人気の高額メダカ
◎ピンクサファイア / ペア ¥40,000 (ピンク体色 半透明鱗 ラメ)
いま「めだかの館」にいる最高額のメダカ。上から観ると美しさが際立つ。体色がピンク色。半透明のウロコを持ち、エラがほんのり赤く透けて見える。さらにウロコがラメのように輝く、といった形質を持つ。
◎アマテラス / ペア ¥10,000 (白体色 朱赤体色 体外光)
白と朱赤の体色のコントラストが見事で、背中に体外光という青白いきらめきがある。上から観賞することに向いているメダカだ。2年前に生まれたばかりの比較的新しい品種で、人気も高い。
◎紅薊(べにあざみ)リアルロングフィン / ペア ¥20,000 (朱赤体色 透明鱗 ブラックリム リアルロングフィン)
体色は朱赤で、ヒレが長い。横から観賞すると、熱帯魚のような優美さを感じられる。ほかにも、ウロコが透明にもかかわらず、黒い柄が発現しているため、ウロコが強調して見える。
◎Mamoru / ペア ASK (目前 水泡眼)
目が斜め前を向いており、シャボン玉のような水泡がある。目の水泡が宇宙服のヘルメットに似ていたため、宇宙飛行士の毛利衛さんの名前から「Mamoru」と名付けられた。新品種のため、年末から販売される予定。
【めだかの館】
住所/広島県廿日市市宮内3500-2
営業時間/9:00~17:00
定休日/木曜
写真・野澤亘伸、アフロ