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サンマ1匹1000円の衝撃! 「高くて身が細い」鮮魚店が異口同音「今のサンマは売れない!」と幻の高級魚に

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.09.12 18:09 最終更新日:2023.09.12 18:22

サンマ1匹1000円の衝撃! 「高くて身が細い」鮮魚店が異口同音「今のサンマは売れない!」と幻の高級魚に

名古屋・柳橋中央市場「山田商店」

 

 歴史的不漁により、サンマの価格が高騰している。サンマの水揚げ量日本一の北海道根室市の初水揚げでは、過去最高値の1キロあたり14万400円で取引されたと8月19日付の朝日新聞が報じた。

 

 全国さんま棒受網漁業協同組合の統計では、ピーク時は2008年で34万トンあまり取れていたが、2022年は過去最低となり1万8000トンを下回った。不漁の原因について、水産庁は、近年の沿岸部の水温上昇によりサンマの南下経路が沖合になり、小型漁船の操業が難しくなったことを挙げている。

 

 

 秋の食卓の定番であるサンマは今いくらで買えるのか? 本誌は都市圏の鮮魚店を訪ねた。

 

 驚きの価格が目に飛び込んできたのは、名古屋の「市民の台所」と呼ばれる柳橋中央市場。1匹1000円の値段をつけていたのは山哲商店だ。店員は、「今日届いたものでいちばん高いサンマ。でも今は身が本当に細くなっている。昔はもっと安かったよ」と語る。

 

 1匹380円で売り出していた魚竹水産の店員は、「最近は海がおかしい」という。

 

「自分が鮮魚店を始めたころと魚が全然違う。かつては100円も出せばすごくいいサンマが買えた。そんなサンマは、今は全然ない。今、北海道で天ぶりが揚がるんだけど、20年前なんか天ブリはいなかった。イワシ、鯖、ブリっていうのは、北海道で揚がるようになったのはここ2~3年だよ。暖かいところでしか生きられない魚は、宮城やせいぜい八戸までだったのに」

 

 一方、東京の店はどうか。文京区の「魚栄」は、1箱2キロ15匹入りのサンマに1匹350円、同16匹入りに1匹300円の値をつけていた。

 

「今、市場に出ているのは、いちばん大きいもので(2キロ)13尾入りもあるけど、一般的にスーパーで売っているのは16尾入りくらいだと思う。13尾になると、もう500円くらいする。一般家庭の人がお惣菜にするのは、350円とか300円のものでしょう。これでも昔は1本150円くらいで売っていた。ここのところずっと高い」(「魚栄」店員)

 

 味にも変化があるという。

 

「脂の量が少なくておいしくない。昔のサンマを食べている人には物足りないはず。同業者の間では、高くなってマズくなったって常に言っている。知り合いの北海道出身の魚屋さんも、『今のサンマはサンマじゃない。もう売らない』と言っていたよ。こだわりがあって売らないという人も結構多い。ウチは居酒屋さんも来るのでサンマを置いているけど、一般のお客さんに聞かれたら『たいしてうまくないよ』と言っているよ」

 

 神奈川県川崎市で魚料理専門店を営む店主は、ここ数年、サンマをほとんど出していないという。

 

「今のサンマは高くて身が細いから、お客さんに出せないよ。そもそも近所の市場に入ってこない。豊洲の中央市場でしか扱っていないね。もう少し時間が経って脂が乗ってきたらウチも仕入れるかもしれないけど、どうなるか分からないね」

 

 落語の噺になった庶民の魚も、手が出ない高級魚になってしまった。

( SmartFLASH )

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