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「武田鉄矢先生に救われました」三原じゅん子“誰にも言えない”子宮頸がんとの孤独な闘い「特別なことじゃない」恩師の言葉
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.03 06:00 最終更新日:2023.12.03 06:00
40代後半から急激に高まる「がん発症リスク」。生と死の分かれ道で“選択”を間違えないために有名人7人が死の淵で選んだ、がん治療を徹底取材した。
女優として活躍していた三原じゅん子氏を政界へと誘ったのは、子宮頸がんだった。
「自覚症状は何もなく、2008年に人間ドックと合わせ、念のため子宮がんの検診を受けたら発覚したんです。検査手術をおこない、細胞組織を調べたところ、子宮頸部腺がんだとわかりました。最初に診てくださった医師からは、子宮だけじゃなく、そのまわりのリンパ節もすべて摘出するしかないと言われました」
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だが、大掛かりな手術は女優生命を脅かすものだった。
「経験者に相談すると、リンパ節まで取ると、足が3倍にむくむとか、排尿障害になるとか、いろいろと大変だと言うんです。3月に告知を受けて、8月には私の人生の恩人である武田鉄矢先生の舞台に立つ予定だったので、なんとか子宮だけの摘出にしたかったんです。セカンドオピニオンを求めて、何人もの医師に相談し、5人めの先生に『子宮だけの摘出で大丈夫』と言っていただきました」
当時の芸能界では、がんを公表するのが難しかった。
「7月に手術して、無事舞台には立てました。ただ、肉体的にも精神的にも本当にきつかったです。がんを公表すると、役柄も狭まるし、レギュラー出演もできなくなりますからね。当時は誰にも言わず闘病していました。ただ、その舞台の関係者がこっそり武田先生に言ってしまったみたい。するとある日『がんは誰もが経験することで、それがちょっと早い時期にきただけで、何も特別なことじゃないんだよ』と声をかけてくれました。その言葉で、私だけが孤独に闘っているわけじゃないんだと、大変救われました」
闘病をきっかけに、政治に興味を持った三原氏。現在は、子宮頸がんを防ぐHPVワクチンの接種を推進している。
「子宮を摘出すると、当然子供を産めなくなります。若い女性には二度とこういうつらい思いをしてほしくないんです。ワクチンの定期接種化を実現できて本当によかったですよ。男性の接種率はまだまだ低いですが、中咽頭がんなどを防ぐことができますからね。今後も推進していきたいと思っています」
取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)