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改札内で“高級食材”が420円で食べられる!ホームは目の前、日本全国の「駅酒場」がスゴい

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.03.08 06:00 最終更新日:2024.03.08 06:00

改札内で“高級食材”が420円で食べられる!ホームは目の前、日本全国の「駅酒場」がスゴい

【かかし】/しなの鉄道 戸倉駅(長野)

 

 駅酒場、すなわち鉄道駅構内で酒類を提供する飲食店が活況を呈している。

 

 駅酒場は、昼間から一定数の需要を見込めることもあり、夜間営業の自粛が求められたコロナ禍のなかでも、店舗数は飛躍的に増えた。

 

 用事のついでや、乗り換え途中などにフラッと寄って軽く一杯呑める便利さと、「駅ナカで呑む」という特別感が人気の理由だろう。

 

 

 そんな駅酒場の世界を、改札内と改札外に分けて覗いてみよう。なお、画像に付された価格はすべて税込みで、各店の紹介文に付された「ホームまで◯秒」は、もっとも近いホームまでの筆者の体感時間であることをお断わりしておく。

 

 改札内の駅酒場を利用するのは、列車の乗客が圧倒的に多い。そのため、長居する人は少なく、ほんの数分だけ滞在して生ビールをグイッと流し込む人をよく見かける。

 

 かつてはホームの階段の裏側に立ち、上着のポケットに忍ばせたさきイカを肴にハンカチで隠した缶ビールを呑む人がそこかしこにいた。今では “不適切にもほどが……” と言われそうな光景だが、その代わり、酒好きを受け入れる店がちゃんとある。

 

 象徴的なのが、品川駅の「スタンドひおき」だ。東海道新幹線の乗り入れ後に全面改装されたエキュート品川の中にあり、この店舗だけは昭和のノスタルジーを感じさせる佇(たたず)まいだ。

 

 京浜東北線で2駅先の大森が発祥のバイスサワーをリターナブル瓶で提供するなど、メニューにも懐古趣味的な魅力が感じられた。駅そば「常盤軒」を運営する事業者が手がけているだけあり、昼の丼ものは迅速提供がウリだ。

 

 コロナ禍の2021年にオープンしたJR大宮駅(埼玉)の「大宮横丁」は、昭和レトロをコンセプトとしたテーマパークのような内装で、いわば意図的に生み出したノスタルジック駅酒場。

 

 全国のご当地グルメを集結させたメニューの中から、地元名物の「大宮ナポカツ」を選択。鉄板の上のナポリタンにとんかつを一枚ドカンと載せ、最後までアツアツ。爽やかでほろ苦い「埼玉越生ゆずサワー」と組み合わせた。

 

 駅そばでのちょい呑みも要注目。大阪駅の「麺亭 しおつる」は、14時を境に駅酒場に切り替わるマルチ業態の駅そば。店内に生け簀があるだけあって、夜営業では魚介類の一品料理が安くて美味い。「アワビの醤油バター炒め」は、生け簀のアワビをなんと420円で提供。

 

 名鉄の主要駅・神宮前駅の「麺坊かどや」も、マルチ業態店ではないが、ちょい呑みメニューが充実した駅そば(きしめん)だ。揚げたての串カツや鶏唐揚げが人気で、テイクアウトコーナーには行列ができることもある。

 

 メーカーや銘柄に特化したムーディな駅酒場は、近年とりわけ駅ナカ進出が目立つ。アサヒの吹田工場の生ビールが人気のJR新大阪駅の「ヴィア ビア オオサカ」や、さまざまなヱビスビールを飲み比べられる恵比寿駅の「TAPS BY YEBISU」など、今後の展開から目が離せない注目ジャンルだ。

 

 ビールといえば、グループで自前のクラフトビール醸造所まで作ってしまったのが近鉄。大和西大寺駅は、2022年に駅ナカモールがリニューアルし、「YAMATO Craft Beer Table」を含むフードコートが開業した。近鉄奈良駅そばの大和醸造で造られるクラフトビールを呑めるほか、窓越しに近鉄奈良線や京都線の列車を眺められ、人気の夕陽の眺望スポットでもある。

 

 一方では、簡便さにムーディな雰囲気を融合させ、短時間の利用でもしっかり腰を据えて楽しめる駅酒場も増えている。上野駅でサントリーグループのダイナックが運営する「HIGHBALL’S うえのステーション」が、その代表格だ。マンモス駅の改札内にありながら、どこか隠れ家的な雰囲気を感じさせる駅酒場で、ゼウスタワーから注ぐきめ細かな強炭酸のハイボールを心ゆくまで楽しんだ。

 

 名物の「うえのハイボール」は、カナディアンクラブ、バランタイン、そしてブランデーのカルバドスのオリジナルブレンドだそう。

 

 東京駅の「はせがわ酒店グランスタ東京店」は、厳選した全国各地のお酒を数多く取り揃える人気店。同店内には、どぶろくや日本酒を醸造している「東京駅酒造場」がある。駅構内で日本酒を造っているのは、世界でもここだけだ。

 

 どぶろくを、併設された立ち呑みバーで試飲してみると、米の味わいがしっかり残りながら、意外なほどあっさりしていて驚いた。この店でしか呑めない、幻の一品だ。

 

 ローカル駅では、乗降者数が少ないこともあり、改札内の駅酒場は少ない。

 

 そんななか、戸倉駅待合室内の駅そば「かかし」は、ホーム側にも小さな窓口とテーブル席が用意されており、自家製惣菜を肴にホームで生ビールを楽しめた。

 

 観光列車「ろくもん」が停車しているときに利用する乗客も多く、鉄道旅を盛り上げるのにひと役買っている。ホーム上で、列車を目の前にして呑むビールの味は格別だ。

 

 鹿児島中央駅「パティオ鹿児島店」は、駅そば・焼酎バー・焼酎販売店が一体化した店。焼酎バーでは、さつま揚げや豚軟骨などの駅そばのトッピングを肴に、多種多様な本格焼酎を呑むことができる。

 

 このときは、「黒伊佐錦」ロックをオーダーし、コンコースに並べられたテーブルで、忙しく行き交う人々を眺めながら、ちびりちびり。このシチュエーションこそが、駅酒場の最大の魅力だろう。

 

取材/文・鈴木弘毅

( 週刊FLASH 2024年3月19日号 )

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