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「嫌なことがあっても家に帰れば」数千万円かかった人も!「自宅にゲーセン」夢をかなえた男たち
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.06.30 06:00 最終更新日:2024.06.30 06:00
『スペースインベーダー』が自宅にあれば、お金も時間も気にしないでプレイできるのに……。青春時代、そう願った経験はないだろうか?
そんな夢をかなえた大人たちの、自慢のゲーム部屋を取材してきたのが、ライターの前田尋之(ひろゆき)氏だ。その成果を書籍『自宅をゲーセンにした男たち』(ジーウォーク)にまとめ、5月末に続編が発売されたほどの人気を呼んでいる。
「みなさん、家族の説得や設置、機械のトラブルなど、さまざまな苦労を乗り越えています。自分なりのゲーム観をお持ちの、ユニークな方ばかりです」(前田氏)
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自宅をゲーセンにするには、今回、紹介した8人の体験談でも明らかなように、じつにお金と時間がかかる。家族がいれば、さらにたいへんだ。
「『好きなものを手元に置いておきたい』『二度と手に入らないかもしれない』という感情は、コレクターにとって不変なのかもしれません」(前田氏)
不動産会社の社長を務める「自宅ゲーセン素人」さんの、埼玉県児玉郡にある自宅倉庫の玄関を開けると、『UFOキャッチャー』の聞き慣れた音楽が聴こえ、『スペースインベーダー』、『ワニワニパニック』、『グラディウス』などが並ぶ。両替機や飲み物、カップヌードルの自販機もそろっている。2015年に構築した「ゲーム部屋」だ。
「ずっと、家にゲーム機があったらいいなと思い続けてきました。なんなら、ゲーム機を扱う会社で、バイトでもしようかと思うくらい。家を新築する際に、一部屋をゲーム部屋にするつもりが、ほしいゲームが増えていって、ガレージも開放したんです」
ニューヨークから空輸した『アフターバーナーII』は、輸送費込みで2000万円以上。総額では、5000万円に迫る。
「欲しいものはおおむね集めたので、満足感は高いです。この部屋は、僕にとって癒やしの場になっています。ゲームの腕? いや、集めたら満足してしまいました(苦笑)」
一方、格闘ゲーム『ヴァンパイア ハンター』の全国大会で10度の優勝歴を持つ「TKO」さん(埼玉県鶴ヶ島市)。高校時代、ゲームにハマり「大学へ行かないなら出ていけ」と親に勘当されたことも。一時はゲーム業界に足を踏み入れたが、「将来のために」(本人談)医師に転身した。
「結婚して子どもが生まれて、ゲームセンターに行く時間がなくなってきたんです。大会で優勝するために同じ環境で練習しようと、2011年に筐体と基板を買ったのが最初です」
2台が4台、4台が6台になり、ついには2022年に自宅を新築する際、敷地内に「ゲーム棟」を造ってしまった。ゲーム機だけでなく宿泊施設を完備した“夢の館”だ。
「家は一生に1回の大きな買い物。どうせなら、僕の考えた『理想のゲーム部屋』を作ろうというのがコンセプトで、麻雀卓や漫画コレクションもそろえました。ゲーム関連だけで100万円以上、好きなフィギュアは200万円以上かかっています。息子や娘が友達を連れてきたとき、みんな目を輝かせて遊んでくれます。僕は駄菓子屋とゲーセンで育ったので、次は駄菓子屋コーナーを造りたいですね」
インサートコイン、いや札束が必要な“夢の部屋”。うらやましいが……。
●一人ボーッとして、気持ちをリセット
ふぁずさん(山口県岩国市)/ゲーム部屋構築年:2019年
子ども用のメダルゲーム機や、駄菓子屋にある古い筐体などもあります。筐体の輸送費や修繕費、ゲーム基板、倉庫のDIY改造など合わせると130万円ほどかかりました。自宅ゲーセンを作って、ネット上でもリアルでも友達が増えました。また、自分ひとりでいる時間はボーッとしたり、ただゲームのことだけを考えたりして、気持ちをリセットできる空間になりました。YouTubeでも、自宅ゲーセンの楽しさを伝える活動をしていこうと思っています。
●北海道在住。輸送費が高いのが困りもの
コナ研さん(北海道札幌市)/ゲーム部屋構築年:2001年
『グラディウス』好きが高じて、体感型の『ソーラーアサルト』の筐体を購入したのが始まりです。北海道在住なので、輸送費が高くつくのが困りものですね。筐体本体の代金だけなら1台平均5万円、全部で約100万円でしょうか。捨てられていたものをもらってきた筐体もあるので、台数のわりにはお金はかかっていないと思います。でも、ゲーセンで遊ぶのがいちばん楽しい。集めてみて、「自宅はゲーセンの代わりにならない」とわかりました(笑)。
●いつかは「ブラストシティ」の果てに
御手洗さん(非公開)/ゲーム部屋構築年:2018年
高校生のころ、ほぼ毎日プレイしていたのがセガの『ブラストシティ』筐体で、いつかはこの台がほしい、順番待ちもせずに独り占めしたいと思っていました。総費用は700万円以上。故障したら自分で直したり、難しいものは修理に出したりしています。年中無休で、好きなときに誰にも邪魔されずに好きなゲームができるのがいいですね。仕事や実生活で嫌なことがあっても、「家に帰ればゲーセンあるし」って思えばなんでも我慢できます。
●30年がかりのコレクションの集大成
1200bps(チョイノリの人)さん(長野県)/ゲーム部屋構築年:2020年
2001年からゲーム機の収集を始めて、テーブル筐体は6台、基板は350タイトル、キッズメダルやパチスロなどを購入していました。2020年に、離れにある物置を50万円ほどかけて改装しました。ゲーム基板は30年かけて集めたものなので、費用は覚えてないです(笑)。基板を販売しているお店のお客さんと仲よくなって、人脈が広がりました。いつか、このゲームコーナーに友人を集めて、当時の思い出を共有できたらいいですね。
●ゲーム音に癒やされ……置き場所が限界寸前
Kさん(非公開)/ゲーム部屋構築年: 2015年
『SENJYO』『ムーンクレスタ』『スペースインベーダーPART2』『ぱっくんらんど』などの本体は総額150万円弱でしょうか。筐体は基本的にジャンク品なので、レストア用の道具、資材、筐体引き取りのためのガソリン代、高速代をトータルしたほうがお金がかかってます。家族からは、酒とタバコをやらないので許されています(笑)。懐かしいゲーム音に癒やされ、遊びに来た人が喜んでくれます。ただ、資材も含めて置き場所がそろそろ限界です。
●より没入するため、昭和雑貨に囲まれて
ガガーリンさん(埼玉県所沢市)/ゲーム部屋構築年:2014年ごろ
『西遊降魔録』『ストリートファイターII』など、筐体やゲーム基板などを含めると1000万円ほどかかりました。当時遊んだゲームを懐かしみながら、ゲーム仲間と童心に戻っています。昭和雑貨に囲まれた空間にしてあって、より没入できるところがいいですね。たいへんなのは、場所を取るし、もの自体が相当古いので、メンテナンスが不可欠な点です。まだ設置できていない筐体があるので、いまよりも広い場所で、それらすべての筐体を設置したいです。
写真・木村哲夫、前田尋之、本人提供