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「死亡の疑い81件」医師が懸念する「小林製薬」医療制度への影響「あそこのサプリは患者には勧めない」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.07.05 16:34 最終更新日:2024.07.05 20:07

「死亡の疑い81件」医師が懸念する「小林製薬」医療制度への影響「あそこのサプリは患者には勧めない」

記者会見する小林製薬の小林章浩社長(写真・時事通信)

 

「小林製薬の判断により、死亡者数の報告をしなかったことは、きわめて遺憾である」

 

 6月28日、武見厚生労働大臣は会見で、語気を強めたーー。

 

 小林製薬の紅麹サプリメントを摂取した人が、腎臓の病気などを発症した問題。紅麹の健康被害が明らかとなった当初、同社は、紅麹摂取後に死亡した事例は5人と報告していた。ところが、実際には紅麹との関連が疑われる死亡事例が76件あったにもかかわらず、小林製薬は厚労省に報告していなかったのだ。

 

 

「厚労省が6月13日に、同社に問い合わせたところ、死亡事例は5人から増えていない、と回答があったそうです。しかし翌日には『調査中の事例がある』と手のひら返し。結局、6月28日時点で76人の死亡事例が調査中であると報告してきたそうです。7月2日時点では、さらに5人増えて、現在は合計81人を調査しているようです」(週刊誌記者)

 

 そもそも小林製薬には、医師が最初に紅麹サプリとの関連が疑われる健康被害を報告したにもかかわらず、被害を公表したのは1カ月後だったという“前科”もある。

 

「まさに、後手後手です。武見大臣は『もう小林製薬だけにまかせておけない』と、見放すような発言までしました。調査終了後に、行政から厳しいペナルティが与えられる可能性もありそうです」(同前)

 

 一連の事件は、医療現場にも大きな影響を与えている。くぼたクリニック松戸五香の窪田徹矢医師は、多くの患者からサプリについて相談を受けていると話す。

 

「とくに、小林製薬の件が報道された当初は、連日のように相談を受けました。サプリメントをとっている患者さんがこれほど多いのかと驚きましたね。小林製薬が出しているサプリのなかには、EDによいとされるサプリがありますが、紅麹の一件で、製造過程への不安要素を感じるのは否定できません。患者さんに聞かれた場合にはお勧めしていませんね」

 

 五良会クリニック白金高輪理事長の五藤良将医師は、小林製薬の件は日本の医療制度にも影響があると危惧する。

 

「小林製薬に隠蔽体質があったことはとても残念です。サプリメントに関しては、国内トップクラスであった製薬会社だったのに、このような結果になってしまいました。現在、まさに国が医療費を削減しようと『セルフメディケーション』を促進している最中です。今回の一件で生まれたサプリメント業界への不信感が、医療制度全体に影響を与える可能性もあるでしょう」

 

 函館稜北病院総合診療科の医師、舛森悠氏は、正しいサプリメントとの向き合い方についてこう話す。

 

「サプリメントは、使い方を誤れば、命にかかわることもあります。サプリメントとは英語で『補う、補充する』という意味です。つまり、不足している栄養素を補うためのものなんです。不足していないなら、とる必要はありませんし、とったとしても、さほどの効果は期待できません。

 

 現在、市場に出ているサプリは星の数ほどあると言っても過言ではありません。一部は大規模な研究によってその健康効果が証明されていますが、逆に注意が必要なサプリメントも多くあります」

 

 サプリメントは医薬品のように厳しい基準がなく、意図せず、とりすぎてしまうリスクもある。

 

「たとえばビタミンC、Eのような抗酸化作用のあるサプリは、『体の錆をとる』といった、いいイメージを持つ人が多く、気軽に摂取する傾向にありますが、一部のがん化学療法の効果を低下させる可能性があります。またビタミンEのとりすぎが、死亡リスクを上昇することも報告されています。

 

 ビタミン類は多くの食品に添加されています。適量だと思ってサプリを飲んでいても、あらゆる食品から摂取していたため、結果的に過剰だったという可能性もあり、注意が必要です。さらに『天然素材使用』という表記も要注意です。『天然』という表記は、安全を保証するものではありません。臓器に悪影響をもたらす薬草もありますからね」(舛森医師)

 

 過ぎたるは及ばざるが如しということだ。

( SmartFLASH )

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