日本独自の「ソース焼きそば」が生まれておよそ100年。これまで書かれることのなかった「国民食」の通史を、塩崎氏が太鼓判を押す名店を紹介しながら、集中講義する!
●第4次革命(2016年~)
【行列店も出現! 次世代焼きそば店が爆誕中】
そしていま、新たな焼きそばのムーブメントが起きている。事の始まりは、神保町で2013年にオープンした「焼きそば専門 みかさ ※1」だ。
これまで蒸し麺が当たり前だった東京で、自家製の生麺を使った焼きそばは、まさに革命だった。その人気が呼び水となり、2016年に首都圏で焼きそば専門店が急増した。
新規専門店の多くは、これまでにないリッチな麺や具、バリエーションに富んだ味つけや盛りつけを特長としている。「無添加焼きそばBAR チェローナ ※2」が、その代表例だ。焼きそばとは縁薄かった白金の地で、ワインと焼きそばという新スタイルを提案した。これもまた、ひとつの革命といえよう。
さらに2017年に入ってからは、名古屋や大阪にその動きが飛び火している。特に大阪では「焼きそば専門 水卜 ※3」を筆頭に、他業種から参入した専門店が急増中だ。コナモンの本場・大阪で、お好み焼きやたこ焼きの脇役だった焼きそばの地位が、向上しつつある。
「鉄板やきそば・酒場 しぶやき ※4」のように、老舗の焼きそば店が業態を一新するケースも現われはじめた。
およそ100年もの歴史を持つソース焼きそばは、その鉄板にも勝る熱量で、今まさに第4次革命の真っ只中なのである。
※1 焼きそば専門 みかさ
2013年開店。ソース焼きそば(800円)を目指し、平日でも行列ができる
(住)東京都千代田区神田神保町2-24-3
※2 無添加焼きそばBAR チェローナ
スリーエムコーポ1F業界屈指の精肉卸・ヤザワミート直営。無添加焼きそば(950円~)
(住)東京都港区白金1-3-14
※3 焼きそば専門 水卜(みうら)
9月開店。人気ラーメン店・サバ6製麺所が母体。焼きそば(650円)
(住)大阪府大阪市中央区安土町1-6-11
※4 鉄板やきそば・酒場 しぶやき
ウインズ渋谷の目の前にある創業50年以上の老舗。ミートソースをかけた「ピンク」(750円)。店主・大竹淳平さんの先代のころから続く、昔ながらの「茶」(500円。週末のみ)。平日は6種の進化系焼きそばを提供しながらも、従来の常連への気配りも忘れない
(住)東京都渋谷区渋谷3-13-1
塩崎省吾
1970年生まれ。ブログ「焼きそば名店探訪録」管理人。47都道府県、約1000軒以上の焼きそばを制覇
(週刊FLASH 2017年12月19日号)