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カカオ生産量が激減「30年」でチョコレートが消滅する!
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.01.23 11:00 最終更新日:2018.01.23 11:00
まもなくバレンタインデー。チョコレートメーカーにとっては最大の稼ぎ時である。しかし、年明け早々、チョコレートファンにとって聞き捨てならないニュースが飛び込んできた。
なんと、アメリカの海洋大気協会(NOAA)の調査報告書によれば、「チョコレートの原材料であるカカオが絶滅の危機に瀕している。このままでは30年以内にカカオは地上から消滅する」とのこと。要は、2050年までにチョコレートが食べられなくなるというわけだ。いったい、どうしてなのか?
その答えはトランプ大統領が認めたがらない「地球温暖化」にあるようだ。
カカオは中米の旧インカ帝国が原産地で、医療や延命効果もある「神々の食べ物」と称され、2000年もの歴史を持っている。ブラジルやペルーでも収穫されるが、現在、世界のカカオの半分以上がアフリカのコートジボワールとガーナの2カ国で生産されている。しかも、生産者の9割は零細農家であり、児童労働に頼っている有様だ。
近年の温暖化の影響で、赤道付近では雨量の減少が著しく、カカオの育成に異常が見られるようになった。加えて、新たな害虫や病原菌が次々と発生しており、チョコレートの原料が安定的に供給されにくくなってきたという。コスタリカでは、カカオの輸出量が96%も低下してしまった。
チョコレートメーカーにとっては由々しき事態といえよう。なにしろ、欧米はもちろん最近では中国を筆頭に、インド、インドネシア、ブラジル、ロシアなど巨大な消費地においてチョコレートの需要はウナギ登り。
従来の農法では需要に追い付かず、今後は年間10万トンのチョコレートが不足するとの予測も出ていた。特に日本では年々10%近い勢いでチョコレートの売り上げが伸びている。
日本では、義理チョコや本命チョコではなく、自分用に高価なチョコを買うのが最近のバレンタインデーの傾向である。松屋銀座店の調査によれば、自分用のご褒美チョコの予算は前年比14%増の4000円で、本命チョコ用の3400円を上回ったという。
平均すると、バレンタインデー用に1万円程度のチョコを買う女性が圧倒的らしいが、その背景には「チョコレートが美容と健康、そして記憶力の向上や長寿に効果がある」との見方が広まったことがある。
実際、ギネス最高齢記録保持者のフランス人女性(122歳)もナンバー2のカナダ人女性(119歳)もチョコレートが大好物で、1週間に900グラムはチョコを摂取していたとの報告があるほど。
日本では乳酸菌ショコラやビフィズス菌入りチョコまで登場。英国ではアボカドチョコが、ロシアでは海藻入りチョコが人気を博するようになった。
いずれにしても、原材料のカカオが消滅してはお手上げだ。そこで、世界最大のチョコレートメーカーのマーズはカリフォルニア州立大学に10億ドルの資金提供を行い、水不足や害虫に強い遺伝子組み換えカカオの研究開発を依頼している。
はたして、最新のDNA操作技術によって、間近に迫った「チョコレート危機」を救えるだろうか。
(国際政治経済学者 浜田和幸)