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ガンは遺伝する?疑問解決には「認定遺伝カウンセラー」を頼れ
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.01.24 11:00 最終更新日:2018.01.24 11:00
自分自身や家族に、遺伝によるガンのリスクがあるのでは……。そんな心配を抱いたときに頼りになるのが「認定遺伝カウンセラー」だ。
遺伝に関する病気のさまざまな情報提供をおこない、心理的にもサポートする専門家で、現在、国内の大病院などに約230名のカウンセラーがいる。その一人が、お茶の水女子大助教の四元淳子氏だ。
「(乳房の切除手術を受けた)アンジェリーナ・ジョリーの報道があったからか、遺伝性のガンは女性だけのことだと思われる方もいます。しかし、けっしてそんなことはありません。
遺伝性ガンの種類によっては、男性も前立腺ガン、膵臓ガン、大腸ガンなどのリスクが高くなります。また本人が発症しなくても、自身に病的な遺伝子変異があれば、子供には50%の確率で遺伝します。自分だけの問題ではないんです」
カウンセリングでは、家族の病歴などを調査し、遺伝性を評価したうえで、遺伝子検査を受けるかどうかについても相談していく。
「遺伝子を調べることで、自らが持つ病気のリスクを知り、予防に役立てます。また患者さんであれば、その方に合った治療法や薬を選べるというメリットがあります」
しかし、カウンセリングに来たすべての人に、遺伝子検査をすすめるわけではない。現時点では、遺伝性のガンの原因となる遺伝子変異を調べる遺伝子検査は、保険の適用外。20万円以上の費用がかかることもあるからだ。
カウンセリングだけでも保険適用外で、費用は数千円〜1万円ほど。また、遺伝子の変異を「知る」ことで心理的負担を抱えるリスクもあり、「あえて検査を受けない」という選択肢もあるのだという。
最近はネットなどで申し込む「遺伝子検査キット」によるサービスもある。値段は1万円台から3万円程度で気軽に検査できるイメージだが……。
「あくまでも、あなたの遺伝子のタイプによるとこういう体質です、などの傾向を示すもので、医療とは別のものであることを理解しておくべきです。ネットの検査キットでは、遺伝性ガンについて正確な情報は得られないということは知っておきましょう」
国立がん研究センター中央病院・遺伝子診療部門長の吉田輝彦医師は、もし遺伝によるガンのリスクがあっても悲観せず、病気に備えることが肝心だと語る。
「こういった方こそ、いざというときには全身の体力が必要になります。病気を見逃さないため、定期検診を欠かさないようにするのは、いうまでもありません。
また、遺伝によるリスクが少ない方も、生活習慣と加齢が原因で、ガンになる可能性は十分にあります。食生活を見直し、適度な運動をするなどの努力は大切です」
病気と闘うためにはまず、自分自身の体について知ることが、なにより重要なのだ。
(週刊FLASH 2017年12月26日号)