ライフ・マネー
加藤浩次がネーミングした施設も! 東京・千代田区で「喫煙所100カ所計画」がもくもくと進行中
2020年に「健康増進法」が改正され、屋内が原則禁煙に。喫煙スペースが減少したことで、路上喫煙やタバコのポイ捨てなどの問題が起きている。
そんななか、2002年に全国で初めて路上喫煙を禁止する条例を制定、2011年より路上喫煙者に対して2000円の過料処分を適用しているのが千代田区だ。千代田区地域振興部安全生活課長の尾上成臣さんに話を聞いた。
【関連記事:「恥ずかしくないのかな」MEGUMIの“元ヤンアピール”に押し寄せる苦言、リスクも伴うテレビでの“悪かった自慢”】
「千代田区は夜間人口(住民)が約7万人(2020年当時)ですが、昼間の人口は90万~100万人といわれるほど、昼夜の人口差が大きな街です。2002年当時、多くの人々が区内に集中することで、タバコのポイ捨てや歩きタバコ、置き看板などといった街の環境を悪化させるものが多くなり、苦情や改善を求める要望が寄せられました。とくに歩きタバコは衣服の焼けこげや火傷などの危険性のほか、小さな子どもや車椅子の方にとっては、タバコを持つ手が顔の高さに近く、たいへん危険です。マナーやモラルに期待しながら街の環境をよくしていくことは非常に難しく、限界だと考えました。区民の声に応えるために議論を重ね、罰則つきの条例を設けました」
施行後の意見はさまざまだが、公道での喫煙やポイ捨てが減ったことに対する好意的なものが多いという。
現在、千代田区では喫煙所を100カ所設置する取り組みがおこなわれ、区営が5カ所、助成を受けた喫煙所が76カ所設置されている(2025年1月15日現在)。助成制度を始めてから、かかった費用は新規設置費のみ(民間助成のみ)で総額約6億円だ。目標だった今年度末での喫煙所100カ所の設置完了は難しいが、引き続き、取り組んでいくという。この取り組みについて、尾上さんに聞いた。
「喫煙者の方からは秋葉原や有楽町などを中心に、まだ設置件数が足りないのではという声をいただくこともあります。非喫煙者の方からはさまざまで、タバコ対策に税金を使うなと言われることもありますし、喫煙所ができたことで路上喫煙や吸い殻のポイ捨てが減ったと感謝の声をいただくこともあります」
また、訪日観光客対策として、区内のホテルの協力を得て、多言語対応の喫煙所用案内チラシを配布したり、過料処分についての英語表記の注意喚起ステッカーを貼ったり、現金を持ち合わせていない外国人に対し、過料のコード払い徴収も検討しているという。
■一日の利用者が平均4000人の人気喫煙所
実際に喫煙者の声を聞くために、平日の夜、JR有楽町駅近くの民間助成喫煙所「THE TOBACCO 2:50.76」と、JR秋葉原駅近くの区営喫煙所「オアシス@akiba」を訪れてみた。
「THE TOBACCO 2:50.76」は十数人が喫煙中だった。運営会社コソドの担当者によると「石の洞窟をテーマにしていて、灰皿は城壁の石と同じ本小松石を使用し造りました。空気の循環や排気にはとくに力を入れています」と言うだけあり、煙による不快感はない。
利用者からは「喫煙所に行くのが楽しみになった」「肩身が狭かったが、ここなら気分よく過ごせる」など評価は上々のようだ。
「オアシス@akiba」を訪れると十数人が喫煙中。
「広いし使いやすいので、秋葉原で乗り換えるときに毎日利用しています」「飲み物の自販機があるので、1本吸って休憩します」と、普段使いしている利用者が多かった。清掃担当者に話を聞くと「一日の利用者は3500人から4000人。つねに利用者が行列に並び、朝8時のピーク時は40人ぐらい並んでいます」とのこと。
民間と区営の喫煙所は、どちらも多くの愛煙家で賑わっていた。千代田区が進める「喫煙所100カ所設置」の取り組みが完了すれば、喫煙者と非喫煙者の共生はもっと進むだろう。
写真・福田ヨシツグ