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【岩手県山火事ルポ】炎からペットを救え!動物愛護団体による “避難猫” レスキュー「猫がいるなら連絡を」

突然の山火事に呆然とする“避難猫”
《同行したペットのこと、同行できなかったペットのことなど心配なことがありましたら遠慮なくご相談ください お手伝いいたします》
ペットを飼う人たちにとって、家族の一員である犬猫。しかし、アレルギーや設備の問題から、災害時には避難所内に同伴避難できないのが現状である。2月26日に岩手県・大船渡市で発生した大規模火災も例外ではない。避難所で過ごす男子生徒は、ペットのために家族と離れ離れで暮らしているという。
「僕は両親と犬1匹で避難してきましたが、避難所のなかに犬は入れないと言われてしまいました。そこで両親は車内で犬と車中泊しています。でも、このまま続いたらさすがに体力的にキツイので、心苦しいですが犬を親戚の家に預ける予定です」(避難所で過ごす高校2年生の男性)
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こうした事態を受けて、動き出したのが地元の動物愛護団体だ。2月28日、大船渡市の避難所に張り出された壁紙には、冒頭の文言とともに愛護団体関係者の個人の連絡先が書いてある。
ほかにも、避難所を周り、猫の保護をおこなう人物がいた。岩手県・釜石市で活動をする「保護猫アンドゥ」の責任者・鈴子真佐美さんだ。彼女のもとを訪れると、今回の災害で保護したという14匹の猫が過ごしていた。
「災害時にペットとの “同行” 避難は環境省が推進しているのですが、室内でともに過ごす “同伴” 避難は受け入れられないところがほとんどなのです。2カ所の避難所に行ったのですが、まだペットは自宅に残ったままだという人も多かったですね。犬に関しては、同行して駐車場で車中泊する方もいますが、猫に関しては、放し飼いをしている場合、災害時に家の中にいなくて、そのまま置いてくるしかなかったパターンが非常に多い印象です」
完全室内飼いの猫で、手元にいたとしても避難所には入れない。そこで、鈴木さんのもとを頼る人がいるのだという。
「わたしたちの団体では、ボランティアで20人ほどの方が登録してくださっており、保健所や捨て猫、飼い主の事情で飼えなくなってしまった猫を、ふだんから60匹ほど保護しており、新しい飼い主のもとへ譲渡する活動をしています。今回は、助けの声があれば上限を決めずに、できるだけたくさんの猫を無償で保護する方針です。
避難指示が出た26日には、避難先で飼育することが困難なため、施設に9匹の猫が預けられました。その後は5匹増えました。環境の変化に弱い動物ですから、こうした事態になると、ご飯や水もあまりとらなくなってしまう猫も多いです。飼い主さんからの情報をもとに、できるだけ好きな食べ物をあげたり、保護が長期化するようでしたら運動できるようにゲージを広くするなどの対応をする予定です」
施設に預けられた14匹の猫たちは、それぞれ名前が書かれたゲージのなかで過ごしている。ぐっすり眠っている猫もいるが、飼い主を探すかのように、不安げに「ニャー」と鳴く猫もーー。
「わたしは東日本大震災をきっかけに、保護活動を始めたんです。被災地で飼い主と離れ離れになってしまう動物が少しでも減ってほしい気持ちです。もし、ペットのことで悩んでいたら、すぐに連絡をしていただきたいですね」
少しでも早く “避難猫” たちが、元どおりの生活に戻れるといいのだが……。