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舌を見れば「体の異変」がわかる!10秒セルフチェックで血流の滞りから胃腸機能の低下まで判別

舌は「内臓の鏡」といわれている(写真AC)
「舌にはさまざまな情報が隠れています。舌を見れば体内の状態がわかるため、 “内臓の鏡” と言われています」
こう話すのは、「中医師」の幸井俊高(こういとしたか)氏だ。
中医師とは、中国の国家資格で、体を “ひとつのつながった有機体” と捉え、体内の異変は、なんらかの形で体表に現われると考える「中医学」の専門家だ。
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「舌は、表面の粘膜の新陳代謝が盛んで、3日ほどで新しいものと入れ替わります。粘膜も薄いため、舌の粘膜を流れる血液の状態が舌に反映され、病気のサインが出るのです」(幸井氏、以下同)
正常な舌は、赤すぎず白すぎず、適度な大きさと湿り気がある。舌の粘膜上にコケ状に付着する「舌苔(ぜったい)」は、白く薄く均等で、こすっても簡単には剥がれない。
だが、体調に異変があると、心臓なら舌先、腎臓なら奥のほうに変調が現われる。また、舌苔の色や厚さも変化してくるという。
「たとえば舌先に紫色の斑点が出た場合、血液の流れが滞っていることが考えられます。そのため、血行と関係の深い心臓など、循環器系の病気が心配されるわけです」
胃腸機能が低下すると、舌の中央部分の舌苔がなくなり、ツルッとした舌になる。
「胃酸から粘膜を守る胃粘液が不足し、炎症や潰瘍ができていると、舌苔が部分的に剥がれることがあるのです」
炎症や感染症になると、白かった舌苔が黄色くなり、症状が悪化すると体内に熱がこもることで、舌苔はさらに褐色→灰色→黒と変色していく。
「黒っぽい舌の人は、知らないところで病気が長期化しているかもしれませんね。また、がん患者の舌は、免疫力が弱っているために柔らかくしっとりしていたり、震えたり曲がっていたりすることがあります。そして、血流が悪化しているために、先ほどお話しした『紫の斑点』が見られることもあります」
舌のセルフチェックは、鏡さえあれば簡単にできる。
「時間は、起床後すぐがベストです。食後は食べ物の色に舌苔が染まり、正確な観察ができません。ゆるく “あっかんべー” のように出し、できれば自然光で観察しましょう」
自分の健康な舌の色や形を知っておくことで、体調の変化に気づくことができる。
「歯形がつくほどぼってりとしていたら『疲れや、余分な水分がたまっているな』などと、ふだんからセルフチェックすることで、病気になる兆しである『未病』を知ることができます。
ただ、明らかに体調が悪化していても、舌に変化がない場合はもちろんあります。舌だけに頼るのではなく、『日常の健康管理』に活用していただけたらと思います」
舌の変化をナメたらいかんぜよ!
幸井俊高
東京大学薬学部、北京中医薬大学卒業。漢方専門薬局「薬石花房 幸福薬局」(東京都中央区)院長(写真・金谷千治)