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定年後の経済不安を解消する秘策は「分配金」受け取り…「見立て月給」で安心生活をおくるためのヒント

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記事投稿日:2025.05.25 11:00 最終更新日:2025.05.25 11:00
出典元: SmartFLASH
著者: 『FLASH』編集部
定年後の経済不安を解消する秘策は「分配金」受け取り…「見立て月給」で安心生活をおくるためのヒント

 

 

 あまり人付き合いのよくない私にとって、年下ながらかなりの投資オタクである「キムラ君」(仮名)の存在は、いわば「メンター」といったものでした。

 

 会えば熱心に「昨晩の米国CPI(消費者物価指数)の結果」から始まり、日米の金利差から個別銘柄にいたるまで、熱く語り続ける姿を見るにつけ、「彼は本当に投資が好きなんだな~」と再認識させられます。

 

 

 そんな彼の目に、私は、ひと言でいえば、「投資、儲け話の類(たぐい)に淡白すぎる人」と映るようです。

 

 実際、私が定年を迎え、しかもその後の再就職活動がうまくいかずに悩んでいる姿を見かねたからでしょうか、「何かアドバイスしましょうか?」と、彼の方から助け舟を出してくれました。

 

 その当時、私が置かれていた状況はというと、定年の前年の現役時代のフルの年収ベースで計算された「後追いでやってくる住民税の支払い」に始まり、これまた無職だろうがなんだろうが、こちらの懐(ふところ)具合にはお構いなしに請求される「健康保険料」などの各種社会保険料、固定資産税にマンションの管理費、各種ローンの支払いなど、文字通り情け容赦のない「支出のオンパレード」に四苦八苦していたところでした。

 

 そんな私を助けてくれた彼のアドバイスというのが、ある投資信託商品で過去数年間にわたって安定して支払われている、毎月支払い型の分配金を、「再投資ではなく受け取り型に変更する」というものでした。またそれと同時に、その分配金を使って毎月のキャッシュフローを安定化してみたらどうか、というものでした。

 

 具体的には、私の定年退職時である2023年1月、右肩上がりで絶好調だった「日本株への投資」でもなければ、「金」でも「仮想通貨」でも、もちろん「国債」でもなく、毎月決まってほぼ同じ日に、ほぼ同じ額を手にすることができる、「毎月分配型の投資信託」だったのです。それは、世界中の先進国の優良企業に投資をする金融商品でした。

 

 彼のアドバイスがあったからこそ、まさにピカピカの「定年1年生」であった当時の私が抱えていた経済的な悩みの多くを、見事に解決できました。

 

 ちなみに、ある人たちにとっては不思議に思われるかもしれませんが、それまでの私の投資行動には、「分配金を受け取る」という発想が、全くありませんでした。

 

 だって考えてもみてください。「投資」とは、そもそも「増やす」ことを前提としているのです。ですから分配金が出たら、その分は考えもせず「再投資」に振り向けて、少しでも金融資産を増やす、という以外の選択をしたことがなかったのです。

 

 もちろん、知識として、なんとなく「分配金の受け取り」という選択肢も存在することは知っていました。ですが、長年「増やすことしか考えてこなかった投資家」にとって、この増やさずに、むしろ「意図的に上手に減らす」という発想自体、そもそも存在していませんでした。

 

 それが、キムラ君からの指摘を受けて、「目からウロコが落ちる」思いで、ようやく「増やしながら減らす」、そしてそれと年金とのあわせ技で、老後を乗り切ることができる、という解決策にたどり着くことができました。

 

 なお、株の「配当金」と投資信託の「分配金」とでは、その受け取り条件に大きな違いがあり、それが「見立て月給生活」が可能となるかどうかに大きく影響しています。

 

 より詳しくいえば、たとえば、株の「配当金」を受け取るには、「権利確定日まで、対象となる企業の株式を保有している」ことが前提条件となります。

 

 この「権利確定日」とは、配当金を受け取る株主が決定される日のことで、この日までに株式を所有していれば「株主として配当金を受け取れる」ということになります。

 

 それに対して投資信託の「分配金」の場合は、決算日の前営業日までに、対象の投資信託を約定(売買成立)し、保有していることが条件となります。

 

 さらに株の配当金の場合、通常は「その権利確定日から2~3カ月後に受け取れる」のが一般的です。一方、投資信託の分配金の場合は、たとえばネット証券では「決算日から起算して5営業日目に指定の口座に入金される」ことが多く、それを利用して「毎月分配型の投資信託」を選択すれば、その分配金を「見立ての月給」とみなす生活が可能となります。

 

「配当金生活」にせよ「分配金生活」にせよ、投資したお金に対するリターンを前提に成り立ちますが、「毎月のものと見立てたい」であるとか、「できるだけ安定して、しかもソコソコで」といった基準で見た場合には「分配金生活」の方が、より適しているといえます。

 

 いずれにせよ、毎月できるだけ「安定して」、なるべく「減らさずに」、でも「必要な額は着実に」、しかもこれまでの「お給料日」と同じ感覚で「毎月決まった日に分配金を受け取ることができる」――これこそが、「分配金生活」の最重要事項なのです。

 

 

 以上、梅森浩一氏の新刊『年金だけでは足りない人のための分配金生活』(光文社新書)をもとに再構成しました。年金では足りない、でもリスクはとりたくない、そんなあなたに伝授する「分配金生活」の超入門。

 

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