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【厳選10店】ラーメン好きがこぞって巡礼する「1日がかりでも行きたい」日本全国“秘境ラーメン”

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記事投稿日:2025.08.23 06:00 最終更新日:2025.08.23 06:00
出典元: 週刊FLASH 2025年9月2日号
著者: 『FLASH』編集部
【厳選10店】ラーメン好きがこぞって巡礼する「1日がかりでも行きたい」日本全国“秘境ラーメン”

すっぽんラーメン

 

 交通手段が車だけ、公共交通機関は1時間に1本のバスだけ、離島にある……。

 

 こんな不便すぎる“秘境”で営業するラーメン店が、話題を呼んでいる。

 

「たどり着いたときの喜びはもちろん、食べたら苦労がすべて吹き飛ぶ、おいしい一杯が待っています」と教えてくれたのは、47都道府県を食べ歩き、数々のラーメン本に関わってきたラーメンライターの井手隊長だ。

 

 井手さんによると、秘境ラーメン店には「高い技術を持っている店主が、多少不便なところにあっても食べに来てくれるだろうと思って作った店」と「地元民が集まる店だったが、地元では収まりきれないクオリティで話題になっている店」の2パターンがあるとのこと。なかでも、前者が増えてきているという。

 

 この流れは新型コロナ禍以降、顕著で、「リモートワークが日常化するなど、人の流れが変わり、郊外でも繁盛する店が増えてきたのも大きい」と井手さんは話す。それでは、そんなラーメン好きが時間をかけてわざわざ食べに訪れ、行列が絶えない秘境ラーメン店を紹介していこう。

 

 

■職人がこだわり抜いた至高の一杯が秘境にある

 

 まずは、今回いちばん行きやすい“プチ秘境”の名店から。JR青梅線の無人駅・日向和田(ひなたわだ)駅から徒歩15分、青梅駅からバスで15分のところにある、東京・青梅の『Ramen FeeL』だ。完全予約制で、平日も予約が取れない人気店だ。

 

「埼玉の自然のなかで暮らしてきたので、山のない場所で働くのは考えなかった」と語るのは、店主の渡邊大介さん。予約が取れない人気店『らぁ麺 飯田商店』で修業し、ただひとり、暖簾分けを許された実力派だ。看板メニューは、鶏のうま味と醤油のキレのバランスが絶妙なスープに小麦の味がしっかりと感じられ、そこに中細ストレート麺が絡む「雲呑醤油らぁ麺」だ。

 

「日々進化しているのがすごいところ。頻繁には来られないけれど、また食べたい! と思わせるラーメン」(井手さん)

 

 渡邊さんが「ラーメンを食べるだけではなく、温泉や山登りなどにも足を延ばして、お客様の楽しかった一日の思い出のひとつに加えていただければ。これからもお客さまのおいしいに忠実に向き合いたい」と話す一杯には、職人としてのこだわりが詰まっている。

 

 山間の道を車で進むと小さな集落が見えてくる。それを過ぎると突如、現れる要塞のような建物が『らー麺ゴルジ』。敷地内にはペット診療所があり、動物たちも生活している。

 

「動物が生活しやすい場所を考えたら、いまの場所に。自分の出したいものを出して、食べたい人が来てくれるならと、この場所を選んだ」と語るのは、動物専門家のパンク町田さん。これでおわかりだろう。この店は、動物を知り尽くした男が手がけたラーメン店なのだ。看板の「ゴルジらー麺」にはスープ、背脂、チャーシュー銘柄豚の林SPFを贅沢に使用している。

 

「ひと口食べたら背脂の上質さに驚きました」と井手さん。脂はぎっちりだが、くどさがない背脂ラーメンになっている。

 

「何歳の豚の骨にいちばんコラーゲンが入っているのか、何歳以降が臭くなるのかがすべてわかる」という町田さんが自慢する一杯だ。

 

 この2店以外にも麺好きが巡礼する僻地店は、全国にまだまだ存在する。秋旅で訪ねてほしい。

 

【Ramen FeeL<東京/青梅市>】

住所/東京都青梅市梅郷4丁目695-1
営業時間/11:00~15:00(土・日・祝~16:00)
定休日/月・金

 

■醤油スープの切れ味は“天下逸品”

 

店内はスタイリッシュで落ち着いており、キッチンもオープンで清潔感があふれている。「家族で来ていただけるとうれしい」(渡邊さん)との言葉どおり、ラーメン店らしい男臭さとは無縁だ。「醤油ベースのスープのキレのよさは、たとえるなら大谷翔平選手の伝家の宝刀“スイーパー”クラスです」と井手さん。完全予約制なので、青梅や奥多摩での観光と合わせて予定を組んで訪れたいところだ。

 

【らー麺ゴルジ<千葉/旭市>】

住所/千葉県旭市上永井875
営業時間/11:00~15:00
定休日/火・水

 

■銘柄豚「林SPF」を贅沢に使用

 

トドやゾウガメなど、保護した動物が店舗周辺でのびのびと暮らしているほか、店内からも動物を観ることができる。「林SPFを使ったラーメンは、ほかで聞いたことがありません。同じ豚から作っているので、スープとチャーシューと背脂の味にばらつきがなく、バランスが絶妙。実験的でイノベーティブなラーメンは、ここでしか味わえないです」(井手さん)

 

【アリランらあめん八平 長南町店<千葉/山内ダム>】

住所/千葉県長生郡長南町山内(山内ダム入口)
営業時間/11:00$301C16:00
定休日/水

 

■“日本一行きづらい” ポツンと名店

 

目印は山道の途中にある小さな看板のみ。迷子続出で、井手さんいわく“日本一行きづらい店”なのだそう。「アリランらあめん」(1000円)は、玉ネギをベースに豚肉、にんにく、ニラ、ネギを使用した独自のピリ辛味。「にんにくたっぷりのスープがジャンクでクセになる。チャーシューもやわらかくておいしいですよ」(井手さん)

 

【らーめんダイニング庵<群馬/四万温泉>】

住所/群馬県吾妻郡中之条町折田2198-1
営業時間/月・水~金日祝11:30~14:00(LO13:30) 火土11:30~14:00(LO13:30)、17:30~20:00(LO19:30)
定休日/月(祝日の場合は翌日)

 

■上州地鶏の野性味あふれるスープ

 

関越道・渋川伊香保ICを下りて車で1時間。四万(しま)温泉郷にある古民家風の建物が目印のラーメン店だ。日本全国から店主が厳選した食材を使った「丸鶏中華そば」(950円)が人気。「シンプルだけど出汁感が強く、繊細に作られている。スープは上州地鶏の鶏っぽさを前面に出してワイルドでパンチが利いているのが特徴です」(井手さん)

 

【たちばな家<東京/檜原村>】

東京都西多摩郡檜原村本宿5574
営業時間/11:00~15:00、17:00~20:00
定休日/火(祝日の場合は翌日)

 

■ファン悶絶の相伝“手打ち麺”

 

東京・奥多摩の檜原村にあり、昔から多くの人に愛されている手打ちラーメン店。代々受け継がれた豚ガラの出汁が利いたスープ、本格手打ち麺のラーメンが評判だ。「店内で打つ手打ち麺がもちもち。太さがあるけれど、ちぢれがしっかりとしていて出汁感があるスープに絡む。手打ち麺ファン悶絶のラーメンです」(井手さん)

 

【すっぽん処 温泉店<島根/旭温泉>】

住所/島根県浜田市旭町木田993-7
営業時間/火~金11:30~14:00、17:00~22:00、土日祝11:30~22:00
定休日/月

 

■すっぽんエキスがたっぷりのスープ

 

島根県の山間部にあるすっぽん料理店。先代がすっぽんの養殖をしていたため、鍋からうどんまですっぽん料理が食べられる。そんな店の看板メニューが「すっぽんラーメン」だ。「酸味と甘みがある特徴的なスープにちぢれ麺、具材はネギとメンマのみ。シンプルさがクセになります」(井手さん)

 

【のんきや<東京/奥多摩町>】

住所/東京都 西多摩郡奥多摩町原368-4
営業時間/10:30~15:30(LO15:00)
定休日/不定休

 

■創業100年以上! 奥多摩の老舗

 

東京都内とは思えない緑豊かな奥多摩湖のほとりにある、創業100年以上の歴史を誇る中華そば店。「昔懐かしい見た目の『手打中華そば』が看板メニューです。麺は手打ち手切り、さらに足踏みで作られていて、あっさり系だけど豚骨の成熟感がある清湯スープによく絡みます。レイクビューで食べる一杯は格別ですよ」(井手さん)

 

【無鉄砲 総本店<京都・木津川市>】

住所/京都府木津川市梅谷髯谷15-3
営業時間/11:00~15:00、18:00~23:00(昼夜とも売り切れ次第終了)
定休日/月(変動の場合あり)

 

■“日本一”濃厚な豚骨スープ

 

バスは1時間に1本の山あいにある関西豚骨ラーメンの代表格。日本でもトップクラスに濃い「とんこつラーメン」が人気だ。「ほかでは見たことがない、豚骨のすべてを搾り取ったような濃厚なスープが最高。ここでしか飲めないから時間をかけても来たくなる、まさに“秘境ラーメン”です」(井手さん)

 

【恵比寿<新潟/五泉市>】

住所/新潟県五泉市石倉甲201-25
営業時間/11:00~13:30
定休日/不定休

 

■営業時間は150分! “不便すぎる” 行列店

 

単線の無人駅・JR北五泉駅から徒歩20分以上の距離にありながら、つねに行列の人気店。しかも営業時間は11:00~13:30の150分間と短い。メニューは「ラーメン」「チャーシューメン」のみ。「スープは昆布のうま味が感じられてスッキリ。チャーシューも近所の畑で栽培するネギもおいしく、わざわざ行く価値がある名店です」(井手さん)

 

【利尻らーめん味楽 本店<北海道/利尻島>】

住所/北海道利尻町沓形本町67
営業時間/11:30~14:00(6~9月のみ14:30まで)
定休日/木

 

■利尻昆布の出汁が◎最北の秘境ラーメン

 

「死ぬ前に一度は行きたい」と誰もがあげる秘境の名店が北海道・利尻島の「らーめん味楽」。2024年に巡礼したブロガー・菅野ノリヒコさんは、利尻昆布と利尻富士の雪解け水を仕込みに使用した「焼き醤油らーめん」(1200円)を食べたそう。「焦がし醤油の香ばしさと昆布出汁が感じられるスープは、奥行きがある味わいで中太ちぢれ麺とよく絡みます。トッピングでとろろ昆布を少し入れるとさらに旨味がアップします」(菅野さん)

 

 

写真・木村哲夫(ゴルジ)、伊東武志(FeeL)
写真提供・井手隊長、菅野ノリヒコ

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