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焼餃子のルーツ「ミンミン」創業者は満州から引き揚げてきた男

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.03.20 16:00 最終更新日:2018.03.20 16:00

焼餃子のルーツ「ミンミン」創業者は満州から引き揚げてきた男

赤坂ミンミンの餃子

 

 宇都宮の超有名店、大阪発祥の餃子チェーン、吉祥寺の行列店……。餃子の老舗を巡ると、なぜか「ミンミン」と発音する店に多数出会う。

 

「もともと、渋谷にあった『ミンミン(注・ミンの漢字は「王」に「民」)』が元祖。うちはその暖簾分けなのよ」

 

 赤坂ミンミンの名物女将、清水和子さんが語る。和子さんの夫が料理長を務めていたのが、今はなき渋谷の「ミンミン羊肉館」※1だ。

 

 ミンミン羊肉館は、諸説あるが、日本の焼き餃子のルーツのひとつである。ミンミン羊肉館は、満州から引き揚げてきた高橋通博氏が、恋文横丁にて創業※2。

 

 現存する暖簾分け店は、赤坂のほかに四谷三丁目店※3のみ。前述のチェーン※4は、創業者が高橋氏の勧めで餃子店を始めたのが創業のきっかけだ。以降、繁盛にあやかり、屋号は拡大していく。

 

 いつも予約で満席の赤坂ミンミンの餃子※5は、いつも評判だ。味は創業時から不変なのか。

 

「いや、どんどん変わっているわよ。特に、10年ほど前にタレを酢胡椒にしてからは、ずいぶん進化したわ」(和子さん)

 

 そう、こちらは、最近大ブームになっている酢胡椒※6で食べる焼き餃子の元祖。旨味をよく練り込み、濃いめに味つけされた肉餡は、酢胡椒との相性が抜群。老舗ほど変化を恐れないのだ。

 

 

※1 今はなきミンミン羊肉館の餃子。ニンニク入りの元祖だった

 

※2 ミンミン羊肉館は、道玄坂で2008年ごろまで営業。店名は高橋氏の最初の妻・陸温ミンさんから

 

※3 先代がミンミン羊肉館で修業。キャベツが非常に細かく刻まれて、柔らかな餃子

 

※4 1953年創業。創業者の古田安夫氏は、高橋氏と同郷で、3カ月ミンミン羊肉館に住み込みで修業。直営、暖簾分けで50店以上、フランチャイズも多数擁する一大チェーンに

 

※5 豚肉が多めで、嚙めば肉汁があふれ出す。下味がしっかりついた餃子(540円)。予約で満席になることも多いので、要確認だ

 

※6 赤坂ミンミンの餃子は醬油、ラー油を使わず、酢にブラックペッパーをたっぷりかけて食す。筆者が『マツコの知らない世界』(TBS系)で紹介したところ大反響で、このスタイルの店も増えているが、餡の旨味がしっかりしていないとぼんやりした味になってしまう

 

※価格は税込み

 

●取材・文 塚田亮一
 餃子専門ブログ「東京餃子通信」の編集長。 これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。本職はIT企業の取締役

 

(週刊FLASH 2018年2月27日号)

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