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博多餃子を東京に広めた男「きっかけは『池袋餃子スタジアム』」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.03.24 16:00 最終更新日:2018.03.24 16:03

博多餃子を東京に広めた男「きっかけは『池袋餃子スタジアム』」

 

「宇都宮がギョーザで王座奪還!」(産経新聞)
 1月30日、総務省は、宇都宮市が浜松市を破り、2017年の餃子購入額で4年ぶりの日本一※1になったと発表した。

 

 両市の、餃子との関わりは古い。満州からの引揚者によって渋谷にミンミン(ミンは「王」に「民」)羊肉館が出来たように、戦時中に満州と関わりの強かった宇都宮や浜松にも、戦後、地域独自の餃子文化が定着していったのだ。

 

 なかでも、宇都宮市は1990年代からの官民を挙げたPR戦略が奏功。宇都宮みんみん※2や正嗣※3といった人気店は、全国からの観光客が行列をつくる。

 

 だが、近年まで宇都宮以外の「ご当地餃子」が、地域を超えて注目を集めることはなかった。

 

「きっかけは、2002年の『池袋餃子スタジアム※4』です。一口サイズの博多餃子はまったく認知されていませんでした」

 

 そう語るのは、博多餃子のテムジン※5で東京進出を担当した吉里啓一さん。餃子スタジアムで、初めて各地の餃子を食べ比べる楽しみが広がった。

 

「熱心なお客様に知っていただけた一方、イベント合戦で競うように売るのは、少しだけ違和感もありました」

 

 いま、テムジンは新宿のデパ地下にある。博多出身の客は多くない。餃子定食など東京で受けるスタイルも取り入れ、しっかり支持を集めている。

 

 ここ数年、味噌だれで食べる神田の神戸餃子 樂※6や、浜松餃子のみならず津や三島の餃子も供する押上のフジサン・デリ※7など、全国の店が東京に出店する流れが生まれた。加熱する「王座争い」の裏にも、驚くほど豊かな「ご当地餃子」の世界が広がっているのだ。

 

※1 1世帯平均で4258円。2位の浜松市は3582円、3位は堺市で3091円だった
※2 栃木県内に30店舗を展開する、宇都宮餃子を代表する店。かつては「ハウザー」という店名だった
※3 県内に4店舗を展開する行列店。ビールもライスもないストイックな店
※4 現在はナンジャ餃子スタジアムと改称
※5 餡は玉ねぎと牛肉ベース。17種類もの材料を使い、手作りの皮で包んだ一口餃子(480円)。福岡では6店舗展開する、地元の有名店だ
※6 秘伝の味噌ダレで食べる焼き餃子(410円)は、鉄板に一滴の油も敷かずヘルシー
※7 学校給食から生まれた「津ぎょうざ」(1個421円)は、皮の直径15センチ!

 

取材・文 塚田亮一
つかだりょういち 餃子専門ブログ「東京餃子通信」の編集長。これまで食べ歩いた餃子店の数は1000店以上。本職はIT企業の取締役

 

(週刊FLASH 2018年2月27日号)

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